Only Holy Story ２

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「こんな事聞くべきじゃないってわかってるよ。２人の事だしね。でもなんとなく別れる必要あったのかなって正直思うわけよ。」

カタンって音をたてながら持っていた携帯をテーブルに置いて私の方を真っすぐ見る剛典。
好奇心とかただの興味本位とか、そんな程度の気持ちで聞いてるんじゃないよ。っていう目。

きっと話した方がいいんだろう。
もやもやした感情がいらいらに変わる日が来るかもしれない。
まぁ、言って何かが変わるわけでもないだろうし。
迷う必要もないのかもね。
だけど、話すつもりのなかったあの頃の自分の気持ちをこんな風に呼び起こす日が来るなんて思ってもなかったな。

「全部、タイミングだったんだよ。」

年々忙しくなる三代目。
広臣個人の仕事も増えて自分の事のように嬉しかった。
私が組んだスタイリングでテレビや雑誌に出るのもただただ幸せだった。

「ファンのこと？」

「んーん、私そんなにいい子じゃないよ。」

「じゃ、忙しすぎてすれ違った？」

「ふふっ、違うの。広臣はどんなに忙しくても私の事考えてくれてた。格好良くて優しくて愛に溢れた自慢の彼氏だったなー。」

「あれっ？俺、惚気聞かされてる？」

「そう、私めちゃくちゃ愛されてたの。」

なんだこれ。って笑う剛典。

「だから、別れた。」

「いやいや、唐突すぎでしょ。」

「うまく言えないんだけど、スキャンダルとか大事な時期とかいろんな心配もあったけど、それよりなにより私がアーティストの登坂広臣をもっと見てたいって思っちゃったんだよね。もっと上に行ける人でしょ？歌だってもっともっと上手くなる。私がいたんじゃあの人は挑戦する事に戸惑いが出てしまうと思って...。」

「...言ってる意味はわかるけどさ、」

「あの人がいない未来、離れる事が想像できなかったからこそ、別れたんだ。」



恋が愛に変わった瞬間だと思ってた。





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