Only Holy Story ２

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それはないよ。
そう否定した私に、それ以上深くは聞いて来なかった。
本当はやっぱりまだ好きなんだよね。
なんて言ったら直人さんはきっと笑って応援してくれるだろう。
仕事の事も私が困らないように先回りして助けてくれるような優しい人だもん。

「んじゃ、ありがとね。」

「いやいや、家まで送るでしょ。」

「え、いーよ。悪いし。」

「ふっ、今更。」

東京に着いてお礼を言えば、当たり前かのように私のキャリーケースをひいてタクシーに乗り込む。
悪いなって思いながら、結局甘えちゃうんだよね。

「直人さんの彼女になる人はきっと幸せなんだろうなー。」

「急になんだよ。」

「ふと思いまして。」

「...なる？彼女。」

「なるなるー！」

なーんてね。って笑いながら隣に座る直人さんの方を見たら思ってた顔と違って戸惑う。
笑ってくれてると思ったのに、真剣な顔でこっちを見てた。
重なった視線がなんだかいつもと違って...、
こんな直人さん知らない。

「本気にした？びびった？びびった？」

そらせなかった視線の先には、直人さんの笑った顔。
力が抜けちゃうような、ふわっとした優しい笑顔。
そうそう、直人さんはこうじゃなきゃっていう笑顔。

「もう、からかわないでよね！」

「ごめんごめん。」

そう言って、私の頭をくしゃくしゃっと撫でた。
アルコールが入っているからか、いつもより強い気がした。





「ここでいいよ、ありがとね。」

「おー、ゆっくり休めよ。」

マンション前でとめてもらって降りようとした時、エントランスに人影が見えて身体が固まる。
なんで、いるの。

「A？」

「ごめん、少し先にコンビニあるからそこまで乗っけてもらっていい？」

直人さんの返事を聞く前に座り直した私。
不思議そうに見つめながらも運転手さんにコンビニまでって伝えてくれた。

気付かれてないよね？
なんの用事？
まだいるかな？

頭の中は、別れたはずの人のことでいっぱいだった。





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