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...
「直人さん、欲しがらないで。」
金髪ウィッグに赤縁の眼鏡をかけた人に冷静に声をかける。
「え、俺?」
「それはない」と口々に言うメンバーの変装はなかなかクオリティが高い。
直人さんにはすぐに着替えてもらって円陣を組んだ。
みんなが紛れるのは披露宴の会場。
チャペルには行かないことになっているので少しだけ待機しててもらう。
「じゃ、時間になったら呼びに来ます。」
.
チャペルでは普通に参列してもいいと佐藤さんに言われたけど、何があってもいいように1番後ろの席につく。
スーツも黒だしね。
みんなも来たがってたなぁ。
見せてあげたかったなぁ。
そんな事を思っているとパイプオルガンが鳴り響いた。
マコトさんが照れ臭そうに歩いてきて、私に気付くと手を振ってくれた。
そしてバージンロードをお父さんと歩いてくるアサミは少し緊張しているようだけど本当に綺麗。
マコトさんを見て幸せそうに笑うからこっちまで幸せになる。
まだ始まったばかりなのに私の涙腺大丈夫かな?
静かに涙を拭いていると隣に人の気配。
「はえーよ、泣き虫。」
そう言って笑う愛しい人の姿。
「えっ...」と驚く私の口元に人差し指を当てて「しっ!」と言うと目線を後ろに送る。
彼の目線を辿ればメンバー全員がしれっと並んでいた。
「どうしても見たくてさ。」
「ふふっ、ありがとう。」
前髪が長いウィッグをつけているから表情はあまりわからないけどきっと私の気持ち伝染してるよね?
この瞬間を共有出来て本当は嬉しいんだ。
「そろそろ戻るか。」
永遠の愛を誓い合う2人を見届けると彼はそう言って他のメンバーにも合図した。
「A、一瞬だけ目瞑って。」
「え、なに?」
「いいから。」
素直に従えば唇に感じる大好きなぬくもり。
丁度アサミたちが誓いのキスをしているところだった。
「それ、予約な。」
そう言い残して去って行った。
彼が指差したそれはキスの時に感じた違和感の正体。
私の左手薬指に光るそれ。
サイズがぴったりなことも器用につけられたことも驚いたけど...
なによりブルーサファイアが輝いているこのリングに彼の深い愛情を感じてまた泣きそうになった。
サムシングフォーのこと覚えててくれたのかな...?
「いや、でも、キザすぎですよ...広臣さん...。」
嬉しさを隠すように呟いた私の声は拍手の音に紛れて消えた。
...
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あお(プロフ) - みーやんさん» ありがとうございます。そう言っていただけて本当に嬉しいです。頑張ります! (2020年2月5日 14時) (レス) id: 9c6435a544 (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - shireyさん» こちらこそありがとうございますです。花歌いいですよね。すごく好きなんです。 (2020年2月5日 14時) (レス) id: 9c6435a544 (このIDを非表示/違反報告)
みーやん(プロフ) - 完結おめでとうございます。そしてありがとう!素敵な作品だった7人の絆がとても伝わった作品です。この臣くん大好きです私は(笑)次の作品楽しみにしてます (2020年2月2日 19時) (レス) id: fc5b4935bc (このIDを非表示/違反報告)
shirey(プロフ) - ステキなお話で心があったかくなりました(;_;)すてきな作品をありがとうございます!改めて花歌、、いい歌だなって思いました^_^ (2020年2月2日 9時) (レス) id: eae9c1c1ca (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - 桜さん» もったいないお言葉ありがとうございます。登坂さんらしさを意識していたのでとても嬉しいです。私も応援しています。 (2020年1月31日 5時) (レス) id: 1045023487 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あお | 作成日時:2020年1月17日 3時