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...
『子供は3人欲しいなー。1番上は女の子でAみたいにしっかりした子!』
『じゃあ頑張んないとねっ!』
『残念ながらお子さんは.....』
「...っ!」
久しぶりに見た夢に動揺して泣いていることに気付いたのは少し経ってからだった。
ーピンポーン
「...泣いた?」
開口1番がそれでアサミらしい。
「んー夢見ちゃってさ。」
「そっか。」
深く聞いて来ないことに甘えてる私がいる。
コーヒーを入れて、「用意するから待ってて」と伝えると自分の家のようにくつろぐアサミ。
メイクをしているとリビングから流れてくる音楽に戸惑った。
「なんでこれなのよ。」
「いっぱいあったから。」
そう言って、三代目のライブを見ている。
「いや、こりゃやばいわ。」
「すごいよね、しかもみんな優しいんだよ。」
「...好きになっちゃった?」
本当にアサミには隠し事が出来ない。
エスパーかなってくらい私の気持ちを読み取るんだ。
メイクをしている手をとめて、アサミに抱き着く。
「だめだって思ったの...これは勘違いだって。私には恋をする資格なんてないから。でも彼の存在が日に日に大きくなっちゃって...。」
涙が溢れてうまく話せない。
それでも私の背中をさすりながら「うんうん」と優しく聞いてくれることに安心して口に出来なかった想いを吐き出す。
「仕事だから...割り切らなきゃって思ったのに...顔が見れると嬉しくて...声を聞くと会いたくなって...。」
「うんうん。」
「たぶん初めて会った時から特別だった...。だからっ...だから臣さんに彼女がいるって知った時ショックだったのと同時に、罰が当たったんだって思った。」
アサミの表情はわからないが私を抱きしめる腕に力が入った。
「一方的にサトルを突き放して傷つけた罰だって...私が自分自身から逃げた罰だって思った。」
「ねぇ、もう許そ?誰も悪くない。サトルのこともAの身体のこともしょうがなかった。サトルと向き合えなかったのは若すぎたからだよ。Aの悪いところだね、すぐにパッと蓋して逃げるの。」
アサミの言葉に何も言い返せなかった。
その通りだから。
私はいつも逃げる。
嫌なことや受け止めきれないことがあると向き合おうとしないズルい人間なんだ。
「臣さんのことも諦めるの?」
「...わかんない。」
「そっか。まぁいつでも話聞いてあげるから。」
そう言って微笑むアサミは男前で、ありがとうが溢れた。
...
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あお(プロフ) - shireyさん» コメントありがとうございます。満足していただけるように頑張ります。 (2019年12月18日 11時) (レス) id: a6fdefa27b (このIDを非表示/違反報告)
shirey(プロフ) - 話が面白くて続きが楽しみです((o(*゚▽゚*)o))) (2019年12月17日 23時) (レス) id: eae9c1c1ca (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - みーやんさん» コメントありがとうございます。かなりゆっくりになると思いますが最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。 (2019年12月8日 0時) (レス) id: a6fdefa27b (このIDを非表示/違反報告)
みーやん(プロフ) - 初めまして!一気読みしてストーリーの純粋さが気に入って登録させて頂きました笑グイグイ行く岩田サンいいね〜私は臣くん推しだからこの先が楽しみです。焦らずゆっくりと素敵な作品作ってくださいね、更新お待ちしております (2019年12月7日 20時) (レス) id: fc5b4935bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あお | 作成日時:2019年11月26日 23時