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OMISIDE
トイレから出ると少し離れた所の壁に寄りかかる人がいた。
なにこれ。デジャブ?
「あっ。」
「トイレの前で男性を待ち伏せとはあまりいい趣味とは言えませんよ。Aさん。」
「「...あははっ。」」
目が合った後に、重なる笑い声。
「打ち合わせは?」
「会社から電話って言って抜けてきました。」
「なんで?」
「臣さんに謝らなきゃと思って...」
何を...?
目の前で伏し目がちに話す彼女。
「怒ってますよね?ごめんなさい!」
「待って、わかんない。岩ちゃんの事?」
「え?岩さん?」
「あ、いや、こっちの話。」
俺がイライラしてるのは、自分勝手な理由であってAさんは何も悪くないもんな。
「あの、お家の鍵を返すタイミングがなくて...ずっと様子をうかがってたんですけど、なんか怒ってるみたいでどうしようって。早く返せよって思ってましたよね?」
「...そっち!?」
「え、どっち!?」
彼女に誤解させてしまったのは悪いと思うけど、こうして話しに来てくれたことを嬉しいと思ってしまった。
「遅くなって本当にごめんなさい!あとありがとうございました。」そう言って差し出された薄いブルーの小さな封筒。
受け取ると中身は鍵だと開けなくても分かった。
「全然怒ってないですからね。ちょっと違うこと考えてました。」
「それならよかったです。」
ほっとしたような表情をしてから綺麗に笑う。
初めて出会った時からいろんな表情をみせてくれる彼女。
つい触れてしまいそうになった手を慌てて引っ込める。
俺にそんな資格はないのだから。
「時間差で戻るんで、臣さん先に戻っててください。」
.
この時の俺はわざと気付かないふりをしていたんだ。
自分の気持ちを認めなければそれはないのと一緒だから。
俺がもっと早く本当のことを伝えていれば、君を傷つけずにすんだのかな...
...
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あお(プロフ) - shireyさん» コメントありがとうございます。満足していただけるように頑張ります。 (2019年12月18日 11時) (レス) id: a6fdefa27b (このIDを非表示/違反報告)
shirey(プロフ) - 話が面白くて続きが楽しみです((o(*゚▽゚*)o))) (2019年12月17日 23時) (レス) id: eae9c1c1ca (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - みーやんさん» コメントありがとうございます。かなりゆっくりになると思いますが最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。 (2019年12月8日 0時) (レス) id: a6fdefa27b (このIDを非表示/違反報告)
みーやん(プロフ) - 初めまして!一気読みしてストーリーの純粋さが気に入って登録させて頂きました笑グイグイ行く岩田サンいいね〜私は臣くん推しだからこの先が楽しみです。焦らずゆっくりと素敵な作品作ってくださいね、更新お待ちしております (2019年12月7日 20時) (レス) id: fc5b4935bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あお | 作成日時:2019年11月26日 23時