【募集企画】東方幻想記録物語 25巻 (ページ44)

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激昂と思考回路とポンコツ　感情少女ページ44

「なに、ただの時間稼ぎだ。その間に……そうね、そこの四人のご主人様のところにでも行こうかしら」

冷静になって考えてみれば、狂言とも取れるその発言。
だが、その言葉は―

自らの主である一人の少女を狂気的な程愛し、護る事自体が存在意義である4人の感情達の精神を搔き乱すには十分すぎる程だった。

「――――はｯ…？」

相手に一番言ってほしくなかった文字列を脳が拒み、ハッとした時一番に目に入ってきたのは…歩く厄災ことヨハンナ・フォン・ノイマンの不敵な笑みだった。

「…お前…」

腹の底からふつふつと煮えたぎるような怒りと憎悪。冷静さを欠き、怒はヨハンナを睨み付ける。
その表情を、ヨハンナは愉悦に浸るような目で見つめていた。

「―殺して良い？」

溶岩の様な怒りを滾らせる怒から一転、出てきた哀はあくまで冷静そうに見える。―だが、それはあくまでそう見えるだけだ。哀がヨハンナに投げた問いかけ、それは至極単純で…一瞬で判る程に狂気的なものだった。

「きゃはは、やってみなよ。やれるもんならな！」

悪役の様式美の様なセリフと安定しない口調を発しつつ、ヨハンナは腕を前に振る。それに連動する様に機械の雑兵達は一斉突撃を始め、ただ立っているだけではいけない状況まで来た。

「…っ」

第一波を防御した後、ふとヨハンナに目を向ける。視界に入ったのは、この場所を去ろうとしているヨハンナの姿だった。

「あっ、待て…！」

「―待ちなさい！貴方達が追いかけるのは良くないわ！」

「…は？何言ってんだよ、嬢様が…！」

「落ち着きなさい！ここで貴方達が追いかけるとあの馬鹿の思うつぼになってしまう、ここは私が追いかけるから貴方達はこの猫と一緒に木偶人形達の相手をしてて！ちなみにこの猫強さは申し分ないけど記憶力が死んでるからよろしくね！」

重要事項を説明し終え、リスティアはヨハンナの後を追う。それを見て感情達は若干不満げな表情を見せつつ雑兵の方へと向き直った。ちなみに風深は勿論「とりあえず殴ろ」程度の感覚である。