【募集企画】東方幻想記録物語 25巻 (ページ43)

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地雷の上で踏み鳴らせ、鮮やかなるステップ　ヨハンナページ43

「……これは」

ヨハンナは、戦闘中に舞い降りた四人の人間―――人間？を視界に入れた。そしてすぐさま腕を指揮者のように振るい、そして動きを止めると、ただでさえご機嫌なのが更に上機嫌になる。というかヨハンナにしてみれば、無感情な人間の感情の具現化であるなどということは面白い以外になんと形容すべきか思いつかないほどであろう。
―――間違っても、その主人はほんの少しも面白くないわけだが。

「で、なんだよこいつ。やっぱさっきの大演説の奴なんだろうな！そうじゃなきゃとんでもなく腹立つぞ」
「わかりきってることでそう声を張り上げないでよ。哀しくなる……」
「わぁ、ねえねえすっごく楽しそうな戦いだよ！楽しみだね！」
「みんないつも通り仲良しで喜ばしいわ～」

嚙み合っているような噛み合っていないような会話を繰り広げる四人。リスティアと風深にとっては間違いなく援軍であり、ヨハンナにとっては更に不利な状況になったのであろうが、どうにも緊張感を欠く。ヨハンナに至っては余裕綽々でアンティーク調の椅子に腰掛け、テーブルとティースタンドまで用意して優雅にアフタヌーンティーを嗜み始めていた。琥珀色の液体を啜りながら、ヨハンナは頬杖をついて微笑む。

「君達も私を倒しに来たってことでいいんだな？」
「当たり前のことを聞かないで。本当に、異変の主犯は愚か過ぎて哀しくなるわ……」
「もうっ、人様相手にそんな暗い顔でものを言わないの。ほらほら、笑って。ね？」
「オーケイ、その辺にしなさい。要は私を倒しに来たんだね。りょーかいりょーかい」

ヨハンナが言葉と共に腕を振るうと、そこには突如として機械チックな―――というか、まさしく機械の雑兵が大量に召喚された。新種の妖怪とも、ゴーレムとも、某機動戦士や某汎用人型決戦兵器とも形容できるような、幻想郷では確実に見ることのできない機械兵である。

「流石の歩く厄災である私でも、一対六は分が悪いもの。ここは機械工学の天才としての私に登場してもらうとするぜ」
「……そんな木偶人形風情で相手できると思って？」

リスティアが睨みつけるが、やはりヨハンナは動揺していない。それどころか尚更テンションが上がりに上がっていた。

「なに、ただの時間稼ぎだ。その間に……そうね、そこの四人のご主人様のところにでも行こうかしら」

その一言が発せられた瞬間、感情の四人は一斉に開きっぱなしの口を閉ざし―――空気は凍り付いた。
それが、この悪魔の計算通りだとは知らずに。