前口上は貴族風に ヨハンナ ページ40
一方その頃、ヨハンナが居る妖怪の山にて。
「―――ちょっと、そこの異変の主犯」
空気を震わせた凛としたその声の主は、振り返らずとも理解していた。葡萄茶の髪を持つ少女と、その従者らしき若竹色の少女。つまるところ幻想入りして1分と経たない二人組―――リスティア・A・レーヌと猫詰風深である。
ヨハンナは受話器を電話機に戻し、少々の驚きを声色に織り交ぜつつ、返答を口にする。
「……なんのことだ?」
「下手にとぼけるのはやめておきなさい。お前の下らない嘘など、1ペニーほどの価値もないわ。お前が異変の主犯で、この惨状を眺めて小汚く嗤っている―――そんなこともわからないほど、私は節穴ではないのよ」
「あらまぁ、それはそれは。なんとも怖い人だね」
戯けた風に言うヨハンナに、リスティアは少し苛立っている様子だった。リスティアが不快感を込めて眉を寄せた、まさにその刹那のこと。
―――何者かの拳が一閃、ヨハンナの顔面に炸裂した。
否、炸裂したと言うのは正確ではあるまい。正しくは、炸裂しようとしたのである。何故かと言えばその拳は物の見事に空振り、ヨハンナは平然として50cmほどの横移動を済ませていたからだ。
そしてその拳の主―――風深は、きょとんとした表情で視線をリスティアに投げる。
「あるじさま、この人誰ですか?あるじさまがフカイそうな顔をしていたので殴ったんですけど」
「異変の主犯よ、間違いなくね。……沈黙は肯定とみなしても良いのでしょう?」
リスティアの鋭い視線には一切動揺せず、ヨハンナは右手でパチンパチンとリズミカルに指を二度鳴らすと、その手でリスティアを指差した。まさにその通り、の意である。
「いいよ、私が異変の主犯であってるもん。まさか真っ先に当たりを引いたのがレーヌ家の
「……残念ながら、私はそんな高尚な主義を持ち合わせているようなお貴族様ではないわ。答えは単純よ。―――私の身に危険が及ぶのが我慢ならないから」
「そりゃあまた、なんとも……」
面白い、とでも言いたげに、ヨハンナは口角を吊り上げて頬を紅潮させる。その理解し難い精神構造にリスティアは少し気圧されたものの、平常心は保って睨み返した。
「異変の主犯。私はお前に戦いを挑むわ。……名を名乗りなさい」
「良いでしょう。―――私はヨハンナ・フォン・ノイマン。
4人がお気に入り
「募集企画」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
フウ(プロフ) - 続編作成いたしました!リンクはこちらから【https://uranai.nosv.org/u.php/novel/kazami13359/】 (7月26日 11時) (レス) id: b910a0dd1c (このIDを非表示/違反報告)
フウ(プロフ) - 続編作ります! (7月26日 11時) (レス) id: b910a0dd1c (このIDを非表示/違反報告)
雨宮鳳花(プロフ) - 一挙二話更新させていただきます! (7月26日 9時) (レス) id: 460ec6fb5a (このIDを非表示/違反報告)
雨宮鳳花(プロフ) - では、更新させていただきます! (7月25日 22時) (レス) id: 460ec6fb5a (このIDを非表示/違反報告)
朝宮藍良@元十六夜紅葉(プロフ) - 雨宮鳳花さん» もしよければ続きお願いします! (7月25日 16時) (レス) id: 25ee4b6236 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:サナティ x他5人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/
作成日時:2023年7月13日 13時