異変の序章 照輝 ページ27
「剣城ー、剣城ー?居るかーい?」
そうやって不穏な空気が流れ出すこの地にあって、呑気に手を振って太陽の畑にやってくる少年―――日彩木照輝は、友人を探して右往左往させていた目をはたと止めた。そこに漂う不穏な空気と名状しがたき異常な雰囲気を、肌で感じ取ったからだろう。
「……剣城?居ないのかい?」
きょとんという言葉がまさしく相応しい表情で、照輝は太陽の畑に分け入る。花の一輪でも踏もうものなら管理者の妖怪に半殺しにされるであろう畑は、奇妙なまでの静寂に支配されていた。普段なら穏やかに微笑んだフラワーマスターと快活に笑った少年が出迎えるであろうその空間。―――それが今日この日に限っては、虫の這う音一つ耳に届かない。
照輝は地に這う草の一本たりとも踏むまいとしながら花畑を進み、その丁度中心あたりで、衝撃的な“それ”を目にした。
「君、は―――!」
そこには、ボロボロの風見幽香が倒れこんでいた。
服は無残に破け、髪は乱れ、まさにボロボロと形容するに相応しいその状況。かの最強に近しい妖怪と名高い風見幽香が置かれている状態としては、余りに異質だ。
そのような場にあって、流石ヒーローを志す者と言うべきか、照輝は今自分が何をすべきかを即座に理解していた。すぐさま満身創痍の幽香を抱え上げると、幽香と剣城の家へと駆けこむ。
家の戸を叩きつけるように開け、幽香を寝かせ、その場にあった救急箱をひっつかんで応急手当を済ませる。
その一連の動作の間、照輝の脳内にはぐるぐると思考が回り続けていた。
―――何故幽香が?一体誰が?何者が?犯人はどこに消えた?何故剣城は居ないのか?
それらの疑問は答えが出ることのないまま停滞する。
結局のところ、照輝は幽香が目を覚ますまで枕元で待つしかないのであった。
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フウ(プロフ) - 続編作成いたしました!リンクはこちらから【https://uranai.nosv.org/u.php/novel/kazami13359/】 (7月26日 11時) (レス) id: b910a0dd1c (このIDを非表示/違反報告)
フウ(プロフ) - 続編作ります! (7月26日 11時) (レス) id: b910a0dd1c (このIDを非表示/違反報告)
雨宮鳳花(プロフ) - 一挙二話更新させていただきます! (7月26日 9時) (レス) id: 460ec6fb5a (このIDを非表示/違反報告)
雨宮鳳花(プロフ) - では、更新させていただきます! (7月25日 22時) (レス) id: 460ec6fb5a (このIDを非表示/違反報告)
朝宮藍良@元十六夜紅葉(プロフ) - 雨宮鳳花さん» もしよければ続きお願いします! (7月25日 16時) (レス) id: 25ee4b6236 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サナティ x他5人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/
作成日時:2023年7月13日 13時