【募集企画】東方幻想記録物語 25巻 (ページ22)

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参加してなかった人達　照輝ページ22

―――さて。
かくして幻想郷全土を襲った異変は終幕を迎えたわけだが、ほぼ間違いなく首を突っ込んできたであろうにもかかわらず姿を現さなかった少年が居た。

「だーかーらぁ……」

ハネた金髪のひと房をぴこぴこと動かしながら大きく口を開くのは、紫紺色の瞳に正義の焔を宿した高身長の少年―――日彩木照輝だ。その向かいでは烏の濡羽色をした短髪の少女―――一条神樂が不機嫌そうに立っている。

「何度も言ってるだろ、なんで行かせてくれないのさ！こんないろんなトコロでいろんな異変が起こってたってのに、君ってばヒーローの邪魔立てなんていい度胸じゃないか！」

早口でまくし立てる……というかどちらかというと子供の駄々のような喋りを並べ立てて、照輝は不満を表明する。対して神樂は心底疲れたという顔で、この数十分間に何度も言われたことに対して何度も言ったことを言い返す。

「何度も言ってるでしょうが、あの異変現場じゃあんたは邪魔になるだけだったの。近代兵器……って言うんだったかしら？あんなの、助太刀に入ったところで流れ弾が当たってあんたがお陀仏か、あんたの化物じみた暴風で弾道ずらして邪魔するかの二択よ」
「でも！もう一つの異変だったら助太刀できたんだぞ！」
「あの重力数倍の状態で？あんたなんて要は速度と膂力のごり押しで戦っているようなものじゃない。だとしたら、あの状態はあんたにとって最も不利だったんじゃないの？」
「……う」

よく考えればなんとなく反論できそうな意見な気もしなくもなかったが、少なくとも照輝はそういうちくちくした口論は得意なほうではないのだ。ともあれ、異変が解決した以上はこの口論も終焉を迎える時である。

「……まあ、結果的には異変解決できたんだからもうどうでもいいじゃない。はあ、本当にめんどくさかった」
「むう。ナットクできないんだぞ」
「あんたが納得できようとできまいと、終わったものは終わったのよ。次の異変では精々解決できるように頑張ることね」

神樂の言葉に、まだムッとした様子の照輝。対して神樂はどこかへ足を向ける。手をひらひらと振って去ろうとする神樂に対して、照輝は手首をつかんで引き留めた。

「ちょっと待った。いったいドコに行くんだい？」
「……いや、別にいいでしょなんでも。異変解決したんだからどうせ宴会になるんだろうなと思っただけなんだけど」
「じゃあ僕も一緒に行くんだぞ！」

いやなんでだよ、とでも言いたげな神樂の目に、照輝は太陽のような笑顔で答える。

「宴会って楽しいものだろ？そういうのって、友達と行くものじゃないかい？」