YS回想─ヒトメボレ ページ6
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パシャリとカメラのシャッター音が響いた。
「また撮ってる。毎日毎日同じもの撮って飽きないの？」
─今から3年前。
フラッシュを浴びたAヌナは、呆れたようにこちらに目をやった。
"同じもの"というのがヌナのことだったら、飽きるはずがない。
だってヌナはどの瞬間も綺麗で、このフィルムだけでは収まりきらないから。
YS「新しくカメラを買ったから、一緒に思い出残そうと思って。」
ヌナは「ふぅん」と気のない返事をして、運ばれてきたカフェラテやスコーンに目をやった。
食器が並んですぐにスコーンに手をつけるヌナ。
「‥美味しい。」
カシャ
YS「今日のヌナの写真。」
「もう、ほんとに‥そんなに撮ってどうするのよ。」
さすがに動くたびにシャッターを切られるのがウザかったのか、じっとりとした目でこちらを見る。
あぁ、正直そんな表情も残しておきたいくらいだ。
YS「後から眺める。何を食べたとか、どこに行ったとか。ヌナとの思い出を1年後、2年後、3年後も‥。」
「こんなの思い出でも何でもないでしょ。」
ヌナにとってはこんなの、かも知れないけど。
オレにとってはヌナと過ごす毎日が思い出なんだ。
それくらいヌナが好きってこと、分かってる？
─なんて、オレの気持ちなんて1ミリもわかってないであろうAヌナは、何か考えるそぶりを見せたあとにポツリとつぶやいた。
「3年後の私はどうなってるんだろう。」
YS「‥そりゃあ、やっぱり‥ケッコン？」
口から出た言葉は、ヌナの耳にも届いているはずなのに。
あまりにも唐突で呆れられたのか、ふと鼻で笑うだけだった。
目を離したらどこかに行ってしまいそうなヌナを繋ぎとめておきたくて、本気で結婚を考えてるって言ったら、笑われるのかな。
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日はまた遡ってヌナと出会ったのは、そのさらに3年前。
グループ活動が忙しくて、でもずっと恋焦がれていた「恋愛」──。
ファンの子と結婚する、なんて言うとグループの弟たちに「ヒョンは夢見すぎ」だなんて笑われていた。
自分のことを分かってくれて、いつも好きでいてくれている「ファンの子」と結ばれることが、オレにとって本当の幸せだと思っている。
だから、ライブ中に恋に落ちることだって充分あり得ると思う。
会場を見渡した瞬間びびっときた。
オレ、この人と結婚するかも、なんて──。
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作成日時：2023年5月28日 3時
