根に持つタイプ -KH- ページ7
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「いやぁ、それにしてもさっきのキュヒョンかっこよかったなぁ。」
いやいや、さっきまで気配を消していたあなたが呑気に何を言いますか。
「しかもまさかキュヒョンが、あの場の空気で割って入るとは思わなかった。そんなにおみくじ引きたかったの?」
何故だか興奮気味に聞いてくる、さっきまで気配を消していたヒョン。
それは彼女に向けられた複数のカメラから、視線を遮る為。
「‥なぁんて。彼女が困ってたからでしょ?‥‥こんな時に動ける男ってカッコイイよね‥。」
はぁ、と右手で自分の髪の毛をくしゃっとしながら、目線を落とすヒョン。
恐らく動けなかった自分に嫌気がさしているんだろう。
いつもなら飽きるまでいじり倒すけど、今はそんな事なんて正直どうでも良かった。
彼女から受け取ったおみくじと呼ばれる白い紙に、目を落とす。
KH「‥なんだこれ。」
紙は真っ白。どういう事?
「あれ?白紙?逆にレアじゃない??」
そんなおみくじ見た事ない!って言いながら、可笑しそうに笑うヒョン。
おみくじって、未来が事細かに書かれてるってヒョンに聞いて楽しみにしてたのに。
白紙なんてあり得るのか?まるで俺の未来が真っ白だと言われているみたい。
最前列に来て、ベビーカステラを両手いっぱいに受け取ったヒョンは、周りに同じおみくじを持っている人が居ないか探している。
「あ、なるほど!そういうことか」
ヒョンの言葉は耳に入らず、おみくじを受け取った場所を振り返ろうとすると、目の前の少し先で、さっきの白い肌の彼女がのんびりと歩いている姿を見つけた。
咄嗟に俺はヒョンを置いて走り出し、人混みの中を掻き分け、見失ってしまいそうな彼女の後ろから、その細い手首を力いっぱいに掴んだ。
KH「あの、これは、何ですか?」
つぶらな瞳を目一杯開いている彼女。
俺の目を見て、しばらくして彼女の唇にギュッと力が籠った。
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作成日時:2020年5月20日 19時