思わせぶりな彼女と、意識されたい俺 -KH- ページ43
・
KH「着れた?」
「お待たせしました‥」
恥ずかしそうに車から降りてくる彼女。
‥ああ、そうか。
何にも考えて無かったけど、よくやった!と自分を褒めてやりたい‥。
心の中でガッツポーズをとる俺の前には、自分のパーカーを少しだぼっと大きくて重たそうに来ている彼女がいた。
靴とコートまでは流石に借りられませんと、突き返されてしまったけど‥。
ふぅ‥と目を閉じて、一呼吸。
口角が緩みそうになるのを、必死にマスクで隠す。
「キュヒョンさんて、やっぱり男の人ですね‥当たり前ですけど。」
彼女は少しはにかみながら言った。
え?それは何を見てそう思ったんだ?
今の俺の心の中を読んだのか?
俺の服が大きいから?
それともさっき握った手の大きさ??
俺の事、意識したって事??
脳内に疑問が沢山生まれる。
これ聞いても良いのか?
またばかって怒られる?
さっきから彼女の言動に、一喜一憂している俺。
こんなの完璧に‥
いや、まだ考えない。
さっき俺は勘違いしてただろ。
目の前の彼女はかなりの曲者だ。
意味のない警戒心を剥き出しにして、冷静を装って会話を続けた。
「もうこんな時間。すみません、同居人に心配掛けてしまうので、今日は帰ります。」
彼女は駅までの看板を探す。
KH「車、乗ってけば良いのに。」
「そんな、アイドルさんの車に一緒になんて、乗れません‥」
何をそんなに遠慮してるのか。
何度言っても断られるから、渋々諦めて、せめて駅まで送る事にした。
人通りの少ない真っ暗な裏道を二人で、少しの距離を保って歩く。
聞きたい事はいっぱいあるのに。
しばらくの、沈黙。
その沈黙を破ったのは彼女だった。
「明日もここに居ますか?この服をお返ししたいのはもちろんなんですけど、もう一つお渡ししたい物があって‥」
・
80人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時:2020年5月20日 19時