運命の出会い -KH- ページ4
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KH「綺麗だ‥‥。」
着物は以前の日本旅行で何度か見かけた事があった。
でもこれは何?初めて見る‥。
その鮮やかな装束に映える、ミルク色の透き通るような‥白い肌。
風が吹くとさらりと肩を掠めるくらいの長さの、漆黒の髪。
日本人らしい一重でつぶらな瞳。
ぷっくりとした幼い頬と唇。
一瞬で目を奪われ、周りの音も耳に入らなくなっているのが自分でも分かる。
彼女の両隣にいる女性達も同じ装束を身に纏い、同じ髪色をしていたが、俺は目の前の彼女しか目に入らなかった。
「おーい、キュヒョーン! 前進んでるよ―?」
最前列まで来たヒョンに、こっちに来いと腕を引っ張られる。
その弾みで石に躓き、白い肌の彼女の目の前に飛び出てしまった。
KH「わっ‥‥ヒョン‥‥!」
思いがけず至近距離に来てしまった俺は、驚いた様子の彼女とばっちり目が合う。
彼女の漆黒の髪からはほんのりと甘い上品な椿の香りがした。
吸い込まれそうになる。
穢れのない、誰よりも澄んだ瞳。
─社会に出ると、嫌な物ばかり見て瞳が少し汚れて見えると言われているが、彼女の瞳は今まで見た人の中で一番綺麗で、透き通った色をしていた。
KH『あ、あの‥。』
得意の日本語で。
KH『‥‥。』
ここに来て、握手会に参加してくれるファンの気持ちが分かった。
何て言おう。
何を話せば。
カシャ
カシャカシャ
一瞬、何が起きたか分からなかった。
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作成日時:2020年5月20日 19時