可愛い人* ページ11
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あれ、今何て言ってた?
これは、何ですか?
はっと意識を戻す。彼の手元を見ると、さっき渡した真っ白なおみくじ。
ここの神社のおみくじは特殊で、水に浸して文字を浮き上がらせるものだった。
おみくじを渡した場所のすぐ隣におみくじの説明看板があり、そのまた隣にはおみくじを浸すための小さい池があった。
はっ、この人もしかして怒ってる?
看板に説明があるし、むしろ水に浮かべるおみくじを目的に来る参拝者ばかりだったから、説明は省略しちゃってたけど‥おみくじ筒も説明が必要な人だ。
いくら日本語で大きくおみくじの説明と書いていても、見逃しちゃう人もいるよね‥。自分の考えの浅さに落ち込む。
『ご、ごめんなさい‥あの、これはですね、』
自分でも泣きそうになっているのが分かる。
すると彼は目を見開き慌てた素振りを見せる。
『あなたのせいじゃない。謝らないで。ボクが知らなかっただけだから‥』
んん?
さっき出会ったばかりの彼だけど、話しているのを聞いて、すこし違和感を覚えた。
この独特のイントネーション。
なんだか可愛い。
もしかして‥
『ボク、韓国人、だから‥。』
あぁ、なるほど‥
さっきから感じていた違和感。
それを聞いて納得して、自然と笑みがこぼれた。
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作成日時:2020年5月20日 19時