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寒くて目を覚ますと夜中の1時。
いつの間にかベッドに運ばれていた。
脱ぎ捨ててある服に腕を通す。
ベッドを見れば気持ちよさそうに眠る樹。
終わりにしなきゃ、今日でおしまい。
そう思うのに言い出せずにいる。
外に出ると肌寒くて目が覚める。
長い廊下を歩いてエレベーターに向かう。
夜中ということもあってさすがの東京も静か。
大通りを歩きながらコートを握りしめる。
夜空を見上げても星は見えない。
｢はぁ、｣
出会った頃とはまるで違うって言えば嘘になる。
樹の優しさは何も変わらない。
なのに、私が勝手に気づいて落ち込んで
それでも離れたくなくて必死にしがみついている。
こんなんじゃダメだって分かってるのに
樹から離れる決断ができない。
私だけを見て欲しい。
なんて、ジャニーズの樹に言えるわけが無い。
いっその事捨ててくれればいいのに 。
わがままなんだろうか。
当てもなく東京の街を歩く。
｢あの、｣
後ろから不意に話しかけられる。
やばい人、かな。
振り向きもせず足早にその場を去ろうとした。
｢あ、ちょっと。待って！｣
追いかけてくる男の人にいよいよ怖くなって
全力で走り出した。
それでも着いてくる男の人。
なに、怖い。
ぎゅっと掴まれた腕。
｢驚かせてごめんなさい、
これ、落としたから。｣
彼に差し出された手の内には私のコインケース。
コートのポケットに入れてたのを忘れてた。
それを落としたのか律儀に拾って追いかけてきてくれたんだ
『ありがとうございま、す』
受け取る時に初めて見た顔はよく知ってる顔だった。
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作者名：ma2894am | 作成日時：2021年12月22日 9時
