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その後もウジウジしている俺に
奪いにいけだとか、連絡先交換しろ、だとか
アピールしろ！ってずっと言ってた宇野。
他人事だと思いやがって。
イラッとするけど、やっぱり俺のモヤモヤを
解消してくれるのは宇野ちゃんしかいないんだよなぁ。
「宇野ちゃん、ありがとうね。」
宇「いいよ、いいよ。
また何かで返してくれれば。」
こうやって去っていくところも
ちゃっかりしてると言うか。
宇野らしくてありがたい。
K「Nissy、そろそろ振り入れしないと
まずいんだけど」
ダンサーのkazuki。
グループの振り付けを担当してくれてから
ご縁があり、ソロでもお世話になってる。
「あぁ、今からやろう。」
立て続けにリリース予定の新曲。
歌詞を書いては却下され、
リリース予定日ギリギリまでどうなるか分からないのは
もはや毎回のこと。
kazukiが振り付けしてくれた今回の曲も
伸ばしに伸ばしてプロモーションビデオ撮影の
ギリギリの今日でさえもまだ振り入れできてない。
K「まぁ、にっしーならすぐ覚えられるっしょ」
振り入れ予定で来てくれたのに
できなくても毎回怒らず作品を一緒に作ってくれる。
「ほんとごめん、今日こそやろう。」
そう言って食堂を出た。
「あー、ごめん。
ちょっとコンビニだけ行ってい？」
K「俺も行くわ。
マネージャーさんいないんだろ？」
さすがに1人で行かせるのは、って
着いてきてくれる。
会社から1歩出れば1人で歩けないのは有難いのかも
しれないけど、嫌気がさす。
エントランスの自動ドアが開けば
冷たい風が頬を掠める。
K「さっみ、」
「なぁ、kazuki。
嫁さんと付き合う前ってどんな感じだったん？」
グレーのマフラーに身を埋めても吐く息が白い。
K「え、急に？
んー、あんま覚えてないけど連絡先聞いて
ご飯して、って超頑張ってた気がする。」
「やっぱり頑張るのか」
恋愛なんてご無沙汰だし、
若い頃は寄ってきた女を抱くだけでも事足りてた俺。
K「なになに、
恋愛相談なら喜んで乗るよ！」
ニタニタと笑うkazukiは興味津々だ。
「言わねぇよ。」
なんか茶化されそうだし。
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作者名：ma2894am | 作成日時：2021年12月22日 9時
