aphrodisiac (ページ23)

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宇「で、プレゼントして帰ってきたわけだ。」

俺の目の前で今日の日替わりメニュー、

青椒肉絲を頬張りながら、ふーんって話を聞いてくれる宇野

「うん、プレゼントして帰ってきたよ。」

宇「彼女、喜んでた？」

茉白さんに1ヶ月ぶりに会えたのに

どこか空元気で。

以前の彼氏とのマンションでのやりとりから

ちゃんとした恋愛できてないんだろうな、って

勝手に考えてたけど

結局彼氏とまだ付き合ってる様子の茉白さん。

彼氏いたのかー、っていうショックもありつつ

彼女が幸せなら客と店員でも悪くないかなって

諦め始めていたけど

少し話せるようになっただけでも

お近付きになれた気がして嬉しいのに

あんな精一杯の無理した笑顔を見せられると

どうしても俺の方が幸せに出来るんじゃないかって

考えてしまう。

宇「連絡先くらい聞けばいいのに。」

ミルクティーを飲みながら

宇野は嫌そうにもちゃんと相談に乗ってくれる。

「だって、彼氏いるんだよ？」

宇「にっしーから見て幸せそうじゃないんでしょ？」

茉白さんにネックレスをプレゼントしてから

会社に戻ってきて19:00。

夜ご飯を食べながらお互いソロ活動の

仕事の合間にこうやって顔を合わせることが増えた。

「うーん、いいのかなぁ。」

宇「男なら奪うくらいの気持ちで行けよ。」

うさこ、くまこ、みさこ、なんて言ってる

キラキラな宇野ちゃんは目の前に居ない。

宇「うじうじした男やだわー。」

目の前にいるのは昔からよく知っている

宇野実彩子だ。

「ご飯誘ってもいいのかなぁ」

俺だってきっと宇野ちゃんから見れば

いつも通りの俺だ。

舞台の上に立てばどういう振る舞いをすれば

ファンが喜ぶかとか分かるのに、

好きな女の子の前ではどうしたらいいのか

わからないのが俺だ。

宇「にっしーって昔から自分が好きになった女の子は

超奥手だしネガティブだし実らないし」

「まってまって。

俺今すごいセンチメンタルだから。」

宇野は筑前煮に箸をぶっ刺しケタケタ笑う。

宇「だから、奪いに行きなよ、って私は思うよ。

むしろ、私が茉白さんなら奪いに来て欲しい。」

悔しいけど、俺が欲しい言葉をくれるのも

宇野しかいない。

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