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西「なんかあった?」
「なんもないよ、」
ほんとになんにもない、つもりだった。
西「うそ、なんかあったよね。」
「話すような事じゃないから。」
西「寂しい、そんなの。
じゃあ彼氏として聞かせて。何があった?」
そんなのズルい。
彼氏として、なんて隆くんに言われたら言い逃れられない
「私はNissyチームに何が貢献出来てるのかなって」
西「はぁぁぁぁ、」
深くため息をつく隆くん。
「ごめん、やっぱ話すべきじゃないよ。
なんか重いもんね。」
西「めっちゃくちゃ重要だよ?」
西「なんなら、俺にとっていっちばん重要。」
西「1年前に初めて見かけた時から
ずーっと来てくれるの待ってたし
そんなこと1度もなかった。」
西「スタッフさんの頑張りより自分が努力することしか
考えてなかった俺にとって、周りの力がなきゃ
俺は存在しないんだって思わせてくれたの、
他でもないAだよ。」
西「技術なんてこれから磨いていけばいい。
分からなかったら今みたいに聞いて少しずつ、
吸収していけばいい。」
「うん、」
西「だから悩まないで?」
隆くんにギュッと手を握られると不思議とモヤモヤが
するするっと絡まった糸が解けるように溶けていく。
「ありがとう。頑張るね。」
西「もう充分頑張ってるよ。
俺がちゃんと見てる。」
優しく微笑む隆くんが堪らなく愛しい。
西「せっかく空き時間だからちょっと歩かない?」
「え?」
西「もう、これあと10分もすれば終わりでしょ?」
MacBookを指さす隆くんの先には
もう終わりかけの仕事。
「うん、あと少しで終わるよ。」
西「じゃあ、さっと片付けてパーッと歩きに行こ!」
飲みに行くようなテンションで隆くんは話す。
西「ね?Aと堂々と歩けるなんて局内か
事務所しかないんだから!」
街中を堂々と歩けない隆くん。
今まですごく狭い思いをしてきたんだろうな、と胸が少し痛む
「うん、待ってて。5分で仕上げる!」
西「おお!やった!!」
くしゃっと笑う隆くんと早くお散歩したくて
またMacBookとにらめっこする。
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作者名:ma2894am | 作成日時:2021年11月3日 22時