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出演者のリハーサルが始まり、
さらに廊下は賑やかになる。
隆くんもすっかりNissyモードで
声出しをしたりストレッチをしている。
ほんとはずっと隆くんを眺めてたいけど
私もお仕事だ。
決まった役割をこなすために
楽屋を出てスタジオに入った。
まだ観客のいない座席から
今日のスタジオをぐるっと見学する。
華やかに彩られた照明は
アーティストにキラキラとスポットライトを当てる。
｢あ、みちえだくん。｣
さっきまで一緒にいた彼が舞台上で踊っていた。
カメラワークの確認だろうか。
念入りにメンバーやスタッフさんと確認する彼も
すっかり仕事モードだ。
｢あそこにアナウンサーさんが立っていて、
Nissyさんはここで踊るから…｣
今日のNissy、バックダンサーの立ち位置を
紙で確認しながら観客席を行ったり来たりする。
一番端の席の人から見た舞台を確認したくて
舞台上を確認すると、
さっきまで振りの確認をしていた道枝くんと
バッチリ目が合ってしまった。
照明に照らされた彼の目は吸い込まれそうなほど
キラキラしている。
西｢A、ここの振り付け変わったよ。｣
いつの間にか観客席へやってきた隆くん。
｢あ、はい。
ありがとうございます。｣
隆くんはぶっきらぼうに、わざわざ言いに来てくれた。
あとで楽屋戻ってからでも良かったのに。
スタスタと背中を向けて楽屋へと戻る隆くんは
1度舞台の方を見つめた。
見つめた、というより睨んでいた。
隆くんの視線の先を追うと、
また道枝くんと目が合ってしまう。
彼の視線に耐えられず俯いてしまった。
西｢俺やっぱAのことになると
大人になれねぇわ。｣
いつの間にか戻ってきた隆くんは
私にだけ聞こえるように低い声でそう耳打ちをした。
そして、今度こそ楽屋へと戻って行った。
“嫉妬” さっきの隆くんとの時間を思い出して
顔が赤くなるのがわかる。
頭の中の隆くんを追い払い、
切り替えてもう一度端から舞台を見ると
道枝くんが困ったように笑っていた。
もしかして、バレてない？
．
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作者名：ma2894am | 作成日時：2021年11月3日 22時
