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53. ページ3

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西「着いたよ」




しばらく車を走らせてやってきたのは海だった。




真夜中の海は誰もいなくて打ち付ける波の音だけが


響いていた。





「うみ、」




西「そう、たまに来るんだよね。




俺のお気に入りの場所」







そう言うと西島さんは砂浜に座った。





西「あ、待って。




はい、どうぞ。」






西島さんはポケットから大きめのハンカチを出して

その上に私を座らせた。





波の音が心を穏やかにしてくれる。






「気持ちいい」





目を瞑って波の音を聴けば波風が頬を掠める。





西「でしょ、」




「ありがとうございます。


約束、覚えててくださって。」






西「ご飯は行けなかったけど。



ごめんね。」






「謝らないでください。



約束、覚えててくださっただけでも嬉しい。」







頬に当たる髪を耳にかける。





西「Aちゃん、」





きた。


声のトーンが変わって一気に自分の中で緊張が走る。







Nissyチーム、外されるのかな。








西「俺さ、今まで仕事一筋だったのね。」







西島さんは海を見つめたまま話し出した。





西「だけど、ある女の子を見かけてから



なぜかその子が頭から離れなくなって。






あーもう仕事やだなって思っても

その子を社内で見かけるとまた頑張ろって思えて。」






西「浅田さんにあの子、うちのスタッフにならないかな


って本気で言ったんだけど冗談でしょ?て顔されて。」









西「けど、浅田さんはほんとにその女の子を

俺のチームに入れてくれてさ。」






「…」







西「初日は一緒に仕事回ってくれたんだけど




その子、何してても目輝かせて周りキョロキョロしてて。






仕事終わりに貰った花束がその子にピッタリで。




渡したら嬉しそうに見つめてて。







俺、その姿見て、なんかすごい愛しくなっちゃって」









「にしじまさ、」







西「だけど、その子は違う男を選んで。」






「…」






西「そいつは俺にとって家族同然で




良い奴だって分かってるんだけどやっぱり悔しくて。







分かってから距離を置き続けたけど



どうしても気になってしまう。






その子にちゃんと気持ち伝えてから終わらせようって



思ってるのに時間も取れなくて、」







西「もう誰のことか分かるよね。」





西島さんはそう言って私を見た。






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作者名:ma2894am | 作成日時:2021年11月3日 22時

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