異世界姫と異世界王子 (ページ3)

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不思議な空間。ページ3

て「ややややばい！！どうしよ！？」

『落ち着いて！てつやさん！とにかく、あたりを探索して出口がないか確かめましょう！』

いまは午前10時…窓や入り口に近づけば明かりが漏れているはずだ

て「そうだね！よし、はぐれないように手をつなごう！」

『そ、そうですね！』

たしかにここでバラバラになってしまってはいけない。恥ずかしいなんて言ってられないのだ

て「あ、ごめんね、俺手汗すごいけど気にしないでね…」

『そんなこと気にしてる場合ですか…！さあ、早く！』

て「うん！」

(あれ、俺これリードされてね？？男なのに？Aちゃん頼もしすぎぃい)

床を照しながら歩く、床はツルツルしているけれど、木目調だ、そしていろいろなテープで所々にラインが引かれている…此処ってもしかして…

『てつやさん…此処ってもしかして…』

て「体育館…？？」

『やっぱりそうですよね！…でもだとしたら、てつやさんがさっきずっとぶつかるまで這い続けたって話、おかしいですよね、体育館ぐらいの広さだったら、そんなに歩かなくてもすぐ壁にぶつかるはず、それに何処からか明かりが漏れてても見えるはず…』

て「たしかに…俺体感では１時間くらい這ってた気がするもん…」

しばらく沈黙が続く。

て「うーん、これって…いやまさかな…」

『なんですか？』

て「いや、ハリー・ポッターでさ、あるじゃん？
見た目はただのテントなのに、中に入るとめっちゃ広いの！ちゃんと人数分のベッドがあって、暖炉があって…ってAちゃん？ごめんて、沈黙は一番怖い…」

謎の謝罪を受けたAは、ぽつりと呟いた。

『てつやさん…私たち今寒いですか…？』

て「え？…いや、あったかい…ね？」

『今日は何月何日ですか？？』

て「さっきスマホで見たときは12月7日…」

『ここがもし本当の体育館だったとしたら、おかしくないですか？真冬の体育館がこんなに暖かいなんて…暖房の音もしない、ストーブの灯りも無い』

言われてみればそうだ。この空間は何かがおかしい。

ーーー不思議な体育館で君と。