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客足が遠退いた、午後5時。
ベルが鳴って、反射で「いらっしゃいませ」と声をかける。
「何名さ、…」
「あ、TSUTAYAの」
目の前にいるのは、確かに彼だった。
以前会った時同様マスクスタイルだから、間違えようがない。
途端に、体中が熱くなる。
意地悪な世界が少しだけ、私に傾いてくれたような、そんな高揚。
何より彼が、ほんの一瞬のやり取りしかしていない私を覚えていてくれたことが浮足立たせたのだ。
「映画は観た？」
「は、はい」
「ははっごめんね、図々しくって」
「あ、テーブル、お好きなところで…」
「ありがと。…ちなみにさ」
一歩踏み出してすぐに、そう呼び止められた。
キッチンに戻りかけた私も慌ててブレーキをかけて彼を見上げる。
改めて、すごく背が高い。
余裕を含んだ穏やかな瞳に、緊張してしまう。
「オススメはなんですか？」
「え、っと…コーヒーが売りですけど、私はココアが好きです。一緒に召し上がるならオレンジピール入りシフォンケーキがおすすめです」
私の意見にふむふむと頷いて少し考える素振りを見せてから、
「じゃあ、店員さんのオススメで」
マスクを外しながらそう言った彼の柔らかい笑顔に、心臓が跳ねる。
初めての感覚。気持ちが浮つく。
映画のヒロインとはこういう感じなのかな、なんて思ったりしてしまう。
「お待たせしました」
「おー、喫茶店って感じ」
何やらノートに書いていた彼はそれを横に退け、ココアに口をつけた。
ほっと息をついて、私を見上げる。
「美味い。さすが店員さんのオススメ」
「ありがとうございます。ごゆっくりお過ごし下さい」
私の言葉に微笑む彼は、やはりどこか、生きる世界の違う人間の雰囲気を醸し出していた。
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ゆうな - とっても面白かったです！！ (2022年8月2日 3時) (
レス) id: 191643a1ba (このIDを非表示/違反報告)
みさみさ(プロフ) - すっごく面白いのでどうか続きをお願いします！！！！！ (2017年7月31日 18時) (レス) id: 2452cb85c7 (このIDを非表示/違反報告)
逢月(プロフ) - イマイチ扱い方が分かってなくて^^;ありがとうございます！ (2017年5月15日 23時) (レス) id: 67e39d5e3f (このIDを非表示/違反報告)
雨ノ宮心音(プロフ) - 二次創作なのでオリジナルフラグを外した方がいいですよ！違反報告されます。 (2017年5月15日 23時) (携帯から) (レス) id: 665a044116 (このIDを非表示/違反報告)
逢月(プロフ) - ありがとうございます！ (2017年5月15日 14時) (レス) id: 67e39d5e3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みつ。 | 作成日時：2017年5月14日 18時
