舞台裏 ページ12
「ニコニコ新人祭！ みなさん、お集まりいただきありがとうございます！
画面の前のみなさんも、ありがとうございます！」
司会の繚乱が、後ろの席の人にも聞こえるくらいの大きな声でステージに堂々と立っている。
「すごいねー！」
「私、ちょっとトイレ行ってくる」
「いってら。はぁ・・・」
「ケホッ・・・ケホ・・・」
好実は元気に画面を見ている。緊張なんて言葉は彼女の辞書には登録されていないようだ。
佳奈は緊張でお腹が痛くなったのかトイレに行っている。
友は緊張でおかしくなったのか俯き床の汚れの数を数えていた。
成海は喘息の症状が出ている。
「あの、大丈夫ですか？」
控え室で成海を心配した女の人が話しかけた。
「大丈夫です・・・なんとか、おさまりました。」
「良かったです。」
「あの、誰？」
「ああ、ごめんなさい、山城瑠璃子です」
「いや、そうじゃなくて」
「へ？・・・あ！すいません！こっちですよね！あたし、めるるん！よろしくね！」
その清楚で落ち着いた女の人は、なんと、ゲーム実況プレイヤーめるるんだった。
その言葉を聞いて、好実は目を輝かせた。
「え！めるるんさん！？っていうか、山城瑠璃子って言うんだ！あ、サインください！」
「あ、はい」
ペンと紙を受け取り、少しぎこちない手つきでサインを書いた。
「すいません、変になっちゃって。サイン書くの、慣れなくて」
「いやいや！素敵なサインですね！・・・っていうか、めるるんさんって意外に・・・」
その言葉を聴き終えないうちに、照れて言った。
「だって私は山城瑠璃子ですもの。めるるんは、違う私です。」
「？」
「よく分かりませんか？う〜ん、わかりやすく言うとですね・・・」
説明をしようとすると、ドアの開く音がなり、スタッフが声を掛けた。
「すいませ〜ん。次のコーナー終わったらゲーム実況ですので、早めに来てください！」
「それじゃあ、行きましょうか」
「うい！」
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作者名：m_m_m | 作成日時：2015年9月29日 22時
