07-2 ページ24
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「真っ当に、生きていた、ころ……」
小さく繰り返す。
ボンベロはああ、と相槌を打った。
「Aは、ついこの間まで、普通の生活を送っていた。ついこの間といっても、数年は経つが」
彼女は、大学生になるまで至極平凡な人生を歩んできたのだという。小中高、と親に過不足なく育てられ、ほどほどに友人に囲まれ、それなりの人生を送っていた。
だが、ある時、その生活は一変した。
端的に言えば、彼女の愛した男が組織の人間だったのだ。それも、組織で裏切りを働いた――。
ある朝目が覚めると、彼女は銃を突きつけられていた。そして、隣に眠っていたはずの男は、屈強な男たちに羽交い締めにされ、顔中が腫れ上がるほどの怪我を負っていたという。
「コフィはAに言ったんだ。その男を殺せ、殺せばお前を殺さない、と」
ボンベロの言葉にわたしはゾッとした。
そんなこと言われたら、気を失ってもおかしくはない状況だ。
「Aは……」
「殺したよ。コフィの銃を受け取ると、迷いもなく引き金を引いたらしい」
カートリッジをダイナーの照明に翳して、ボンベロは汚れを確認する。白かった布切れは、すでに赤黒い血でその殆どが染まっていた。
口の中がカラカラで、今すぐにも水を飲みたかった。だが、ごくり、なんとか唾を飲み下して堪えた。
「それから、Aは組織に買われたの？」
「買われたんじゃない。あいつは殺しの才能があると見込まれたんだ」
「才能？」
ボンベロは、ああ、と頷いた。
「生きるか死ぬかの窮地に立たされたとして、果たして本当に引き金を引くことのできる人間が、この世にどれだけ居ると思う？」
カートリッジを銃に戻して、右手にそれを納めながら彼は言った。
たしかに、今ここで銃を渡されて、殺さないと殺されるぞ、と言われたとしてもわたしは引き金を引けるかわからない。この数週間できっと一生分の殺し合いや血を目の当たりにしただろうに、わたしにはその覚悟を決められる自信はなかった。
わたしは唇を噛み締め、ボンベロがグリップをぎゅっと握るのをただ眺める。
「アイツには、殺し屋としての最高の素質が備わっていた」
Aが持っているとその銃は酷く大きく見えたのに、ボンベロの手には、とても小さく感じる。
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m(プロフ) - RINさん» いつも嬉しいコメントありがとうございます！今回は大人の話ではありませんが笑必ずボンベロとのあっまーい話を書きたいと思います。書きたくてうずうずしているので、よければ今度読んでやってください……！変換ミスご指摘ありがとうございます！！ (2019年7月28日 20時) (
レス) id: 5da7d064a7 (このIDを非表示/違反報告)
RIN - mさん» 大人の話、、大歓迎です。笑 10-4の後半の名前を入れる部分が、「なまえ」のままになってました！今回も素敵なお話ありがとうございます、、ここに見にくることが私の毎日の日課になってます！笑 (2019年7月27日 13時) (レス) id: d6627adc91 (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - RINさん» 唐突に大人の話をぶちこんでしまいましたが……興奮していただけて良かったです。RINさまはfjwrさん推しなのですね。いいことを聞きました。笑もうお気づきかとは思いますが、ボンベロ寄りです。（あ、ボンベロ・カナコ寄り、かな…？わー！楽しみにしていてください！ (2019年7月26日 23時) (レス) id: 5da7d064a7 (このIDを非表示/違反報告)
RIN - mさん» 最新話についてシンプルに一言。興奮しました。 ツボに刺さりまくりでずっとニヤニヤが止まりません、どうしましょう。笑 小さい頃から藤原竜也推しなので、このままボンベロとの絡みが増えると泣いて喜びます。。笑 もちろん後々のスキン編も楽しみに待ってます！ (2019年7月25日 13時) (レス) id: c3d6b5867f (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - RINさん» 本当ですか？すごく嬉しいです笑 後半戦もかなり私的性癖を詰め込んだ話になりますので、RINさまのツボに刺さるといいです笑パンフレット、いいですよね〜〜！あっでも所々描写が甘いのがバレてしまいますね……笑 (2019年7月25日 1時) (レス) id: 5da7d064a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：m | 作成日時：2019年7月16日 15時
