〚ヴィランズ手下〛マスターヴィランに捨てられた黒猫 (ページ39)

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なあん … ページ39

扉を潜れば夜の街。
外灯は付いているがその光はとてもか細く、不安を煽るような弱さだった。

『…光が充満していますね、』
「あぁ…私達の大嫌いな光がね、」
この街に来てすぐ、2人を襲ったのは凄まじい濃さの光だった。
物理的の光では無く、人間達の希望や夢。
此等はヴィランの者からすればとても嫌悪な物で余り好ましい物ではない。

『…ささっと終わらせて、帰りましょう……此処に居るだけで、反吐が出ます……』
自分はそう言い、今回の任務である問題の輩のアジトへと向かった。

◊

外からでも分かる異臭。
そして、ヴィランが大嫌いな光。

「本来此処まで強くなることは無いのだが…可笑しいねぇ……」
『…きっと、光側に最も近い人間が居るかもしれませんね…注意して、任務を遂行しましょう。』
その言葉とは裏腹に自分は扉を蹴破った。

「!!貴様らは……!!!!!」
『…マルフィさん、どうやらこの方々自分達の存在を知っているそうですよ、』
「あぁ、つまり私やマレフィセント様の美しさが此処にも広がっているのだな…!」
『そんな事、有るわけ無いですよ…全く……』
と、少々駄弁っていると自分の横顔スレスレに鉛玉が撃たれた。

「貴様ら手下から潰せるとはな……此れは良い機会だ!!貴様ら2人の首を刈り取って、貴様らのマスターに『自分たちの首を刈り取って、どうするんです?』…?」
ツラッツラと戯言を並べる奴に音もなく近付き、自分は伸びた爪を相手の腹部に指した。

「っ…貴様ァ!!!!」
「おっと…1人のレディに対して複数とは…全く、美しく無いねぇ、」
そう言い、自分に襲いかかった輩数名を茨で身動きが取れない様にするマルフィ。
刹那、茨の棘が鋭く、そして長く伸びたかと思えば地面に滴るのは赤い水。

『…マルフィの茨が有れば皆一網打尽出来るんじゃないんですか?』
「何を言っているんだね…魔力にも限界というものが有るのだよ」
全く、そんなことも知らないのかい?と、言いながら茨を変幻自在に操ったり、何処からともなく現すマルフィ。
その姿は矢張り美しかった。

◊

『…貴女が、主犯格様ですか?』
「…良く此処まで来れましたわね…所でだけど、私の部下や仲間はもれなく全員彼の世に送りました?」
今自分がとても危うい状態に居ると分かっていないのか主犯格と思われる人物は呑気に座りながら、月明かりの下で紅茶を啜った。