な ~ ご … ページ33
『…あの鴉、部屋にいないし……』
自室を出たあと、
暫く待っていても良かったが、ゴーストのMs.シーンさんが急に現れてこんな事を言ってきたのだ。
「ルーファちゃんが探してる人なら、屋上に居たわよ!」
『…態々有難う御座います、Ms.シーンさん、』
「良いのよ〜!貴女が此処でずっと待っているのを見ると、捨てられた仔猫みたいで見てられなかっただけなんだから!」
オホホホ!と、笑いながら姿を消したMs.シーンさん。
助言を貰っておいてこんな事を思うのはとても不謹慎かもしれないが、自分はルシファー様に捨てられている訳で、捨猫…嫌、野良猫と言われても同然だな、と思った。
屋上へと重い足取りで向かっていく。
◊
ギギギ、と音を立てながら開く扉。
瞬間、強い風がゴォォッと吹いた。
その衝撃に自分は腕で顔を覆い、目をギュッと瞑った。
風が緩やかになったとき、目をゆっくりと開き腕を降ろすと其処には背中から翼を生やしたマルフィが空を見上げていた。
「…おや、ルーファか。」
『……部屋にいないかと思えば、何黄昏れてるんですか…』
と、嫌味ったらしく言葉を言えばマルフィは意図も気にせずクスクスと笑った。
『…まさかとは思いませんけど……自分と、初めて此処で出会った日に似てる、だなんて…思ってないですよね…?』
「あぁ、なんだ…君も似てると思ったんだね、」
マルフィのその言葉に自分は溜息をついた。
『「あの時の話をしようか/しましょうか、」』
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作者名:たにしちゃ | 作成日時:2022年9月29日 17時