医者と人外と[d!] (ページ5)

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羽交い締めの様な形で私を持ちながら空を飛んでいたグルッペンは急に苦しそうな顔をしたかと思えばふらり、と急降下しだした。

真逆、世界中の人間から恐れられてるであろう黒いドラゴンであるグルッペン・フューラーと心中する事になるとは思いもしなかった。

私は目をギュッ、と瞑ってはグルッペンに力強く抱き着いた。

ふわり、と言う感覚がしたかと思えば気付いたらもう地面が直ぐそこに有り、どうやらグルッペンの悪戯で合ったと言う事が分かった。

趣味の悪い悪戯だ、と内心思いながらグルッペンから手を離しては離れようとしたがグルッペンが力無く此方に倒れて来た。

『ぅげっ…！！』

可愛さの欠片も無い蛙の潰れたような声を上げてグルッペンの下敷きになった私はグルッペンから離れようと身を捻ったりしたがグルッペンは一切動かない。

真逆、と思い何とか顔をグルッペンの方に向けるとグルッペンは傷の痛みの余り気絶しているのか苦しい顔をしていた。

其の表情に私は何故か心が酷く痛んだ。

気付けば私はグルッペンを安心させるように背中を一定のリズムでポンポンと叩きながら大丈夫、大丈夫…と言っていた。

其れがグルッペンに聞こえていたか否か分からないが先程よりかは何処か表情が和らいだ気がした。
　

……が、さてどうしたものか。

私の上には暫く目が覚めないであろうグルッペンが居り、グルッペンを退かして身動きも取れず、何処かへ行く事も出来ない。

此の儘、夜が来る迄グルッペンが眠っていると危ない、と分かっていながら私は私を下敷きにして眠るグルッペンの温もりに負けて寝落ちてしまった。

パチパチ、と言う音がよく聞こえ其の音を頼りに目を覚ませば、黒い空に点々と浮かぶ白い光に私は即座に夜だ、と言う事に気付いては勢い良く起き上がった。

勢い良く起き上がった私に驚いたのかグルッペンは肩をビクリと跳ねらせた。

「起きたか…すまないな、下敷きにして。」

『……別に、傷口開いても知らないって言ったのに、飛んだ事に関しては、良いですよ…其れより背中の包帯、見して。』

私がそう言えばグルッペンは何処か驚いた表情で背中の包帯を私に見せた。

…矢張り、傷口が開いたせいで血が滲んでいる。

『包帯変えるから、包帯外すよ、』

そう言い包帯を外してまた消毒をすればグルッペンは苦しそうな声を漏らしたが無視して包帯を巻いてハイ、終わりと言えばグルッペンは御前なぁ…と言った。