医者と人外と[d!] (ページ31)

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『確かに、転移魔法を使えばすぐにつきますけど…此処から鬼人様のいる東の島国に行くには相当…魔力消費をすると思うんですけど…』

しかも、私含めて3人…片や2人はかなりの上位の人外ですし…と、呟いて付け足すAにグルさんは眉を顰めながら呆れた様子だった。

「A…一々そんな事を気にしていたらお前は人間何だからあっと言う間に旅が終わる前に人生を終えてしまうゾ……」

彼奴等に会うだけでそんな時間掛かったか…？と疑問に思い其れを口に出そうとしたが声は出なかった…勿論其れは、グルッペンが魔力を使って俺の疑問を阻止する為に口元のチャックを閉めるような動作をしたが為に口が開かなかったのだ。
そんな俺を見たグルさんは悪い笑顔で静かにしてろ、と言う様に人差し指をシーッ、と口元に添えた。

『…あの、そんな長い期間掛からないと思うんだけど…』

「嫌、此の先を見据えてみろ？今の俺とトン氏は神使に追われてる身何だゾ？其れなのに転移魔法も駄目、空を飛ぶのも駄目だとなるとかなりの期間が掛かるのと同時に彼奴等を説得するのにも時間が掛かる。…だろう？トントン。」

そうグルさんが言った途端口が開放的になり俺は溜息を1つ吐いては、せやな…と続けた。

「俺とグルッペンは…嫌、グルッペンは違ったからグルッペンは抜きにしといて、正直俺はお前に恩を返す為に一緒に行動しとる。…けど、他の奴らはお前に恩を返す為に一緒に行動するとは限らん。其れに、そもそも彼奴等が俺等みたく怪我をしとるとも限らんし、怪我追っとらんかったらお前みたいな人間何か、他の奴らに一瞬で殺されんで？」

そんな俺の言葉にAは少し考えた様な素振りをとった後、渋々と言った形で口を開いた。

『…そう、なら……転移魔法で良いですけど…無理したら、幾ら上位の人外様でも容赦しませんからね…、』

凛とした表情でしっかりと目を合わせて言うAにグルッペンが好奇心を持つ理由が少しばかり分かった気がした。

此奴は人間だと言うのに俺等に臆すること無く物申したり怪我の手当をしたり…他の人間とはかなり変わった方であるのだ。

そりゃあ長年生きて来た中、こんな人間早々居なかったからな…グルさんが興味持つのも納得やな、と内心思いながら分かっとるよ、と返した。

「……まるでトン氏が転移魔法を使う様な雰囲気になっているが転移魔法を使用するのは俺何だからな？」