医者と人外と[d!] (ページ4)

今日:26 hit、昨日:24 hit、合計:18,959 hit

・ページ4

「俺の住処近くで不審な動きをしていた物だからな、少し計り警告をしに行ったんだ。」

『…そうしたら、この有り様、ですか……。』

私がそう言いながら人間になった姿でも包帯が解けた様子も無く巻かれているグルッペンを見ながら言えばグルッペンは首を横に振った。

「彼奴等、神器を使って不意を付いてきたんだ。」

神器を用いってグルッペンが此処迄追い詰められた事に私は驚いた。

グルッペンは神器を用いても倒す事が出来ないと聞いていた存在だからだ。

其れに、神器と言っても一番新しい物で数百年前の物で其れ以外の物は数千年、数万年前の物ばかりだと聞いている。

『…あの、不束な事を聞きますけど…其の、グルッペン様には神器が効かない、と幼少の頃から聞いているんですけど……』

私の問いにグルッペンは嗚呼、と頷いて言った。

「其れは大分昔の話だ、今は…力が薄まってきているからな、」

グルッペンの其の言葉に私は驚いた。

幾ら助けたと言ってもただの人間で有る私にそんな事をペラペラと言っても良いのか、と言う驚きとグルッペンが弱っていると言う事だ。

私が驚きに浸っているとグルッペンはだが、と口を開いた。

「何も神器の攻撃が防げなくなったと言っても俺が強い事には変わり無いがな。」

笑いながら言うグルッペンに私は内心、だろうな…と思った。

…と、言うか良い加減此の場から離れて次の国へと行きたい私はそうなんですね…あぁ、其れでは…此れで、と言っては踵を返したて歩こうとしたが浮遊感に襲われた、

『…っ…！？！！！』

「そう安々と逃がす訳無いだろう？」

グルッペンは私を羽交い締めの様な形で持ちながら人間の姿で空高く翼をはためかせて飛んでいた。

余りの高さに私は息を呑んだ。

此処から手を離されたら間違い無く気絶している間に死ぬ。

……だが、何故だろう恐怖が一切襲って来ない。

途轍もない高さに驚きはしたが余り怖くないのだ。

恐怖の色を見せない私にグルッペンは聞いてきた。

「…落とされるのかもしれないと言うのに、怖くないのか？」

『……あぁ、まぁハイ…其の、何と言いますか……治療する時に、もう死ぬ覚悟はしてたから、多分…』

私がそう言えばグルッペンは一瞬驚いたような表情をした後、面白そうに笑い出した。

「矢張り、Aは其処らに居る人間と違って、面白くて退屈しないな。」

にか、と言う擬音が付きそうな微笑みをするグルッペンに私はそんな事より離してくれ…と、内心思った。