医者と人外と[d!] (ページ30)

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そう改めて挨拶をして頭を下げる少女、Aに俺も頭を下げたが、名前も知られていた事に少しばかり驚いた。

今の時代じゃ俺の事を詳しく知っている人間はほぼいないと思っていたのだが、名前や種族、そして自分が人外の中でまぁまぁ偉いと言う事を此の年端もいかないであろう少女は知っとった。

きっと此の少女を育てた育手が教えたんやろうか…其れ共此の少女の独学で覚えたんか…嫌、其れは有り得へんな…何せそんな昔の資料はもう殆ど残ってへんし其れに何より、名前迄もが載っている資料は…基本、あらへん筈…、

「A、トン氏もこうして救い終わったんだ次は…オスマンの所に行くのか？」

『…嫌、九尾様は深手を負って島国へと逃げた、って情報があったから…鬼人様の所に先に行って其の後に…九尾様、かな…、』

グルッペンの言った名前にもすぐ理解して種族を言ったAにもしかしたら、全員知っているのでは…？と一瞬思ったが流石にあの2人を知っている訳無いだろう、と思い俺はすぐに此の考えを拭った。

「島国に行くとなると、グルさんでも今となるとかなり時間が掛かるんちゃう？」

「そうだな…此処からだと、早くても5日は掛かるな、」

『…トントン様、グルッペン…、流石にグルッペンに乗って行きませんよ…？』

「？…もしかしてやけど、港に行って船に乗って行くんか…？」

だとするとかなり時間が掛かる、此処から飛んで港に行くだけでも3、4日は掛かると言うのに此の少女はグルッペンに乗らず港へ行こうとするのだ。

其れだけで何週間掛かるのだろうか…其れに此の少女には此処から港まで歩いて行く体力があるとは到底思えへん。

…やけど、此の少女は何処へでも行くと言う強い精神が感じられもしかしたら本当に歩きで行けてしまうのではないか、と思ってしまう。

「…流石に、港までは歩いて行くより俺に乗って行った方が良いと思うんだが…」

『嫌、流石に遠いし…グルッペンの負担が凄いだろうから、歩きの方がまぁ…時間は掛かるけど良いかな…って感じ、』

其れに、港だと警備とか色々が厳しいから…ちょっと不安かも…、と付け足すAに俺は1つの案が浮かんだ。

「転移魔法とかなら魔力は消費するけどすぐ付くしええんちゃう？」

「！確かに、其の手があったな！」

俺の案にグルさんが思い出したように頷く。
一方でAは少しばかり考えた表情をしていた。