医者と人外と[d!] (ページ27)

今日:14 hit、昨日:45 hit、合計:18,923 hit

・ページ27

「…まず聞きたいんやけど何でグルさんは此の人間と一緒に居るん？」

「む？…最初こそは恩返し、と言う名目で此奴に付いて行っていたが本心を言うと好奇心で一緒に居るゾ。」

グルさんがそう言うと少女はもう駄目だ…此れ、とでも言うような諦めた雰囲気で応急処置を続けていた。

「っ゙、…！！！」

『…あ、すみません…出来るだけ早く毒源を抜かないと、処置しても意味がないので…』

そう言って刺さっていたと思われる赤黒く、だが少し薄紫色をした鏃を見せた少女。

「まさか、毒入りの矢をあの国は使っていたのか？」

『…まぁ、傷口の殆どが毒を浴びたかのように被れてる、から…使ってたと思う…、』

鞄から小瓶を取り出してピンセットに挟んだ綿に締め込ませて其の綿を傷口に当てて来る。

染みる痛さに顔を顰めると直ぐに終わりますから、我慢してください…、と言った少女に何なんだ…此の少女は、と内心思った。

「…其れで、トン氏よどうする？またあの国に戻って人間と争うか、俺達に付いて来て彼奴等に会いに行くか…何方かを選ぶんだ。」

…正直、まだ此の少女に付いて疑問は未だ沢山あるが此処まで来たんだ、

「…此の子がグルさんに苦労するんも可哀想やし、其れに…彼奴等も久し振りに会いたいからな、勿論付いて行くわ」

「…っはは！そうか！ならまた宜しく頼むぞ！トントン！！」

いつかの様に歯を見せて笑うグルッペンに少女は応急処置が終わったのか呆れたように俺から離れた。

『…あの、オーク様…少し確認させて頂きたいのですけど…此の豚耳と尻尾ってどうにか隠せますか…？』

「あぁ…本来なら無くせるんやけどあの結界でかなり魔力が吸われとるな…まだ無くそうにも無くせへんわ、」

『…生憎、此方も其の耳と尻尾が隠せるような上着が今、手持ちに無くて…』

そう言ってグルさんをちらり、と見る少女。

…まさか、

「グルさん、アンタ…今着とる其れって此の子の物なんか…？」

「む？あぁ、そうだゾ！」

「そうだゾ！ちゃうねん！！何こんな小さい子から上着借りとんねん！！阿呆かお前！」

『あ、えっと…オーク様、グルッペンは…魔力が無くて、角と尻尾がどうにも出来ない為に此れを着せてると言いますか…』

「…俺の名前はトントンや、オーク様って呼ぶんは止めてくれ、後…此奴、もう魔力なら軒並み回復しとるし角とか尻尾はもう無くせるで、」

『…え？…グルッペン…？』