医者と人外と[d!] (ページ26)

今日:24 hit、昨日:45 hit、合計:18,933 hit

医者ページ26

side_tn

夢を見た。
其れは、1人の人間の少女が複数の多分…人外と思わしき青年達に囲まれて駄弁っているのを。

やけど、何処か其の少女と青年達は見たこともない服を着てまるで今とは違ってとても平和だとでも言うように笑い合っている。

「…もし、あぁなれたら……」

何て、叶いっこない夢に手を伸ばした所で視界が真っ白になっていった。

『！…グルッペン…！、オーク様、目覚ました…！』

視界の端で空に浮かぶ雲のように白い髪をして淡い夕陽の様な瞳をした少女がちらりと見えたが俺が目を開けた瞬間ぴゃっ、と視界の届かない場所へ彼奴の名前を呼んで見えなくなった。

「…起きたか、トントン。」

「ぐる…っぺん、？なんで…お前が…、」

いきなり体が起き上がったかと思えば視界に入ったのは先程の少女とグルッペンだった。

何で此処に此奴が、何で此奴がこんな人間の少年と居るのか様々な疑問が押し寄せたが今はそんな事より此処が何処なのかが知りたい。

「此処ならお前が住んどった国とはかなり離れているゾ。」

『…お陰で応急処置がまともに出来てなくて…包帯すらぐちゃぐちゃだから…少しだけ、失礼しますね…、』

そう言って不格好に巻かれた包帯をゆっくりと外し始める少女に内心吃驚しながら俺はグルッペンに聞いた。

「…何で、今更俺ん所に来たん？一度…嫌、元の国に戻って好きに暮らすがええって言ったんはグルさんやろ。」

「…あぁ、そうだな…確かにそんな事も言ったな、」

頷きながら言うグルッペンに俺は理由が分からなかった。

何故そう言った本人が出会った頃のような雰囲気で話しているのかが。

…嫌、何処かで分かっている気がする。

「…トントン、また俺と共に旅をしないか？今回は…嫌、今回も中々な長旅になるのと同時に面白い旅になりそうだゾ。」

クツクツと初めて出会ったあの時の様に誘うグルッペンに俺は目を見開いた。

『…ちょっと待ってグルッペン、長旅って…もしかして、私のも含まれてますか…？』

「含まれているも何も、お前も俺と旅に出ている話前提だが？」

グルッペンの言葉に少女は吃驚したような呆れたような何でそうなるんだ…とでも言う様な感情が此の少女から読み取れた。

…粗方、グルさんが何かを言い訳に此の少女と一緒に居るようだが…もしかすると、俺が予想するよりも遥かに単純な話かもしれない。