医者と人外と[d!] (ページ25)

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ハッとして神使の下僕の方を見れば、雷に打たれ、気を失った下僕と何とか雷に当たらずにすんだ下僕は逃げたのか今意識を持っている下僕は一切居ない状況になった。

「少々手荒だったかもしれないが…どうだ？A、」

バサ、と何事もなかったかの様な表情をしながら羽の音を鳴らして地面に着地するグルッペンに私はぐっ、と息を呑み込んで言った。

『こうするなら…先に行ってよ…！！』

急に雷を至近距離に_と、言っても軽く離れてはいたが_落とされ、爆音と爆風で最悪ショック死してしまうかと思ったのだ。

其れにグルッペンはぽかん、としていた為私は溜息を付いては元々結界が貼られ入れなかった内部へと足を踏み入れた。

『オーク様〜、何処ですかー。』

きょろきょろと辺りを見渡しながら歩いて居るとグルッペンの尻尾がいきなりぴん、と伸びた。

「！A、此方だ！！」

『え、えぇ…？』

何で分かるの…？…て、言うか其の尻尾ってセンサーか何かなの…？と、内心困惑しながら私はグングンと進んでいくグルッペンの後に付いて行った。

「居たゾ！A！！此奴が、」

『…オーク様、だね……、』

オーク様は酷い怪我をしており、時折苦しそうな表情を浮かべていた。

『取り敢えず、安全な場所に……』

辺りを見渡して居るとグルッペンがいきなりドラゴンの姿になった。

「A！其奴持って、俺に乗れ！下僕やら何やらが此方に来てるゾ！！」

無数の足音が聞こえ、私は軽く慌てながらとても重いオーク様を申し訳ないが少し引き摺ってグルッペンの上に乗った。

其れを確認したグルッペンは空高く舞い上がってもう1つ、オマケにと言うようにぱかり、と口を開けたかと思えば血が揺れる様な咆哮をした。

勿論其の咆哮に私は意識を離しかけたが、急にピタリと咆哮が聞こえなくなり、何とか意識を保ちグルッペンの上で応急処置をぱぱっと手早く済ませた。

下僕や兵士の叫びに私は目を瞑りながら顔がバレないように、そして私と言う人間が居る、と言う事がバレないように姿勢を低くしながらグルッペンに早く此処から離れるように、と言う事を伝えるように軽くグルッペンの背鰭をきゅ、と掴むと意思を汲み取ったのかグルッペンはまた翼を力強く振ってオーク様の居た山から離れた。

「…逃げられて、しまったか……、」

其れを見ていた、神使が居るとも知らずに。