医者と人外と[d!] (ページ23)

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『……此れは、？』

「…御嬢さんは、妖精の王を信じるかい？」

妖精の王。

其の言葉をお婆さんから聞いた私は少しばかり目を見開いてしまったと思う。

お婆さんはそんな私を見てかクスクス…と、言うよりケラケラ笑っていた。

「まぁ、信じるも信じないも御嬢さんしだいだが…何せ神使様も妖精様の力を借りて戦っているからねぇ…大半の若人は信じるねぇ。」

『…詐欺商法なら、遠慮します…、』

「いいや、御嬢さんにだけは詐欺商法何てしようと思ってないさ。」

何なんだ、此のお婆さんは…と、内心思いながら私はお婆さんをただ黙ってジッと見つめていれば半ば押し付けるようにペンダントを渡して来た。

『っ…！？、お婆さん、此れ…いりません、って……』

驚いた私は押し付けられたペンダントに一度目を落としたせいか否か顔を上げたときにはお婆さんは居なくなっており、其れどころかお婆さんが開いていた小店がまるで元から無かったかのように跡形なく無くなっていた。

其れに私は驚き呆然としているとグルッペンが追い付いたのか、私の肩を誰かが叩いてきた。

「A…！御前、其れ…」

『…あ、グルッペ、』

此れは、と口を開きかけた瞬間グルッペンはズルいと、言い出した。

「俺には何にも買わないと言っていた癖に、御前はそういった物を買うのか、」

頬を膨らませるグルッペンに私は一瞬幼稚だなぁ…と、思ったが直ぐに否定の言葉を言った。

『買った、って言うより…押し付けられた、って言うか…』

「む？押し付けられた…？」

何処の誰に？と、聞いてきたグルッペンに私は分からない、ただ変なお婆さんだった、と返せばグルッペンは何処か考える様な素振りを取ったかと思えばお婆さんから押し付けられたペンダントを私から取った。

「…A其のお婆さんはどういった見た目をしていたんだ？」

『え、えっ…と、』

あれ？どういった見た目をしていたっけ…、確かに私は先程まで変なお婆さんにペンダントを押し付けられた、のだが可笑しな事に其のお婆さんの見た目や声を思い出そうとすればするほどまるで靄がかかる様に思い出せなくなってくる。

気付いたら顔を軽く顰めていたのかグルッペンは思い出せないのか？と、聞いてきた。

其れに私は少し納得しない様な形で頷いた。

「…矢張り、そうか、」

『そうか、って何が…？』

「嫌、何でも無いゾ其れと、此れは一応Aが持っておけ。」

そう言い、私にペンダントを返したグルッペンは踵を返した。