医者と人外と[d!] (ページ18)

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「そうか、そうか…ボロボロで、気絶しているのか……」

今のグルッペンは明らかに相当ヤバい、ひしひしと感じる殺意に私は正直グルッペンを投げ捨てたかったが恐怖の余りそんな事を出来るはずも無く、ただ少し震えながらグルッペンを軽く抱き締めているしか無かった。

…だが、怒っているように見えたグルッペンが何故か震えていた。

「っく、ふ、っははは…！！！真逆、彼奴がボロボロになって気絶しているとはな…！」

『……ぇ、』

急に笑い出したグルッペンに私は困惑した。

今迄怒っていたグルッペンが、行き成り笑い出したからだ。

「っふ、あぁ、済まない、彼奴がボロボロになって気絶する迄暴れるだなんて、相当な事だったと思うが…どうしても面白くて、な…」

何とか笑いを堪らえようとしているが誰がどう見ても笑っているグルッペンに私は中々飲み込めずただぽかんとしている事しか出来なかった。

『…あ、嫌……えっと、まぁ…そんなに珍しい…？事、何だね、』

「あぁ、まぁ彼奴が気絶する迄暴れるだなんて事は早々に無いが…其の位彼奴の癪に触れる事を人間がしたんだろうな、」

全く、つくづく愚かなことをするな、とクツクツ笑いながら言うグルッペンに私は頭が上がらなかった。

「よし！A！！こうなったら明日の夜にでも行こう！！！」

『……え、あ、明日…！？』

私の言葉にグルッペンはあぁ！明日だゾ！！と、ペカーッと擬音が付きそうな笑顔で言う。

ちょっと待ってくれ、幾ら何でも急過ぎやしないか…？確かに善は急げ、だとか助けるなら早くした方が良いとは言ったが、流石に…明日行くのは、と私が言うとグルッペンはむっ、と頬を軽く膨らませた。

「ボロボロで気絶しているんだろう？彼奴だって、俺と同じぐらい生きているんだ、自己回復が追い付いてない可能性が有るんだゾ？其れで仮に遅く行って彼奴が死んだら御前は責任を取れるのか？」

『そ、れは……』

「無理だろう？なら、明日にでも行った方が良いだろう？」

今の俺は小さいドラゴンだが上位の人外であるドラゴンだと言う事には変わり無いんだゾ、と言うような風格を感じるグルッペンに私は矢張り、上位の人外は上位の人外で少しでも舐めたり此の可愛い姿に油断したら一瞬で寝首を掻かれてしまうだろう、と思い息を呑んだ。

『…分かった、よ…但し、私はオーク様の手当を終わらせたら直ぐにグルッペンと、別れるからね…？』