医者と人外と[d!] (ページ15)

今日:16 hit、昨日:45 hit、合計:18,925 hit

・ページ15

まぁ、無理にでも引っ剥がせるとは思うがきっと引き裂けてしまうだろうと思い私は仕方無く諦める事にした。

バルコニーに出れば建物の隙間から見える山には結界の天井と思わしき物が見える。

『山に上位のオークは囚われてるんだ……少し、面倒だな…、』

そう呟きながら下から聞こえる子供の燥いでいる声に耳を軽く傾けた。

「なぁなぁ！あの醜悪な上位のオークが等々神使様の下僕様の結界で封印されたらしいよ！！」

「そんなのもう知ってるよぅ！其れにしたって…矢っ張り神使様も、神使様の下僕様も凄いねぇ…！」

「そうだな！…なぁ、そう言えばさ…オークが封印された山ってあの山だろ？……今夜、オークを見に家を抜け出さないか？」

「…え？」

……不味い、此の儘ではあの子供が結界近くに今夜行ってしまう。

嫌まぁ、きっと結界周りには周囲を守る下僕や此の国の騎士や兵士が居るだろうし第一、彼等の両親が其れを止めてくれる筈だろうから焦る事は無いだろうし、片方の少年は行きたくなさそうにしているから、拒否する筈だ…と思いたい……

「…幾ら結界が張ってあっても、僕…怖いから遠慮しておくよ……、御免ね、」

「何だよ～！…御前は矢っ張り弱虫だなぁ！」

ゲラゲラと笑いながら断った少年の背中をバシバシ叩いている少年を見て私は苦笑いしながら部屋の中に戻った。

『……グルッペン様、私少し出掛けてくるね、』

眠っているグルッペンにそう伝え、私は部屋を出て宿から出た。

『…神使の下僕は最低でも1人は居る感じ、かな……』

今、私は山に有るオークが閉じ込められた結界近くに居る。

結界の主点と思わしき場所には下僕が1人、其の主点を囲むテントには此の国の兵士や騎士が数名で中々に困難な感じがする。

どうしたら乗り越えられか少し計り考えながら結界の主点から結界の方をチラリと見るとオークの片手が見えた。

……どうやら、オークは気絶しているらしい。

片手だけでオークがボロボロだと言う事は直ぐに見受けられた事に私は顔を顰めた。

幾ら敵である人外だからって傷の手当をしない儘、放置するなんて…人外から見れば私達こそ人外なのでは無いのか…？と、思いながら唇を噛むと口内に鉄の風味が広がり唇を噛みきってしまった事に気付いた。

…一旦、此れで結界の周辺や兵士、騎士、下僕の人数確認は終わりにして私は宿に帰る前に軽く買い物をする事にした。