医者と人外と[d!] (ページ12)

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『……聞いた情報と違う…、』

少し顔を顰めればグルッペンは何かを見つけたのか私の名前を呼んでは指差した。

「どうやら、つい最近神使の下僕が此の国に来て整備や一時の間だけ保つ結界を張ったらしい、」

『……神使の下僕が派遣されたって事は多分…他の仕事で忙しいか……』

「俺を倒そうとした国が俺を探す手伝いをしてるかもだな。」

神使が此の国に来るのが遅くなるのは助かるが、下僕が派遣されたと言う事は必ず此の国に来る事は変わらない。

…神使が来る前に何とかして上位のオークとグルッペンを会わせなければ、きっとオークの命は危ないだろう。

其れに、きっと怪我をしたまま結界内に放置されているに違い無い。

『…取り敢えずまず先に宿を取って作戦を考えよう、』

私がそう言って宿を探す為に歩き始めた…のは良いものの、此のドラゴンと来たら、

「！おい、A！此れ買ってくれ！」

「ふむ…人間の戦闘法や軍事施設はこんなにも発展していたのだな、」

「む……A、何時に成ったら宿に付くんだ？」

『……。』

あっちへ行ったと思えば此方へ勝手に行くグルッペンに私はさながら大きな子供を相手にしているのかと錯覚してしまった。

しかも此のドラゴン、事あるごとに甘味を見つけたら買ってくれと強請って来るのだ。

勿論全て買わないと言い其の場を去ろうとするがしゅん、と落ち込むグルッペンに心優しい店主や店員が試食を渡せばローブから覗いたグルッペンの美貌に息を呑み貰ってってくれ！！と、タダで渡して来る者も居て正直私は頭を抱えた。

「A、聞いているのか？」

気付けば目の前に居たグルッペンは顔をズイ、と近付けていた。

私は其れに吃驚して後退りして、誰かに打つかってしまった。

直ぐに謝ろうと振り返れば目に飛んできたのは年季の入ったボロボロの鋼色。

其れが直ぐに騎士だと言う事に気付くのには時間を余り要さなかった。

「オイ餓鬼！周りはちゃんと見てある、け…って…、御前……Aじゃ無いか…！」

『ソージャ……！』

打つかった相手は幸運な事に顔見知り程度で有るソージャだった。

ソージャは国の騎士で有るが優秀さや腕が立つ所から人外で大きなトラブルや問題が起きた時には様々な国に呼び出されるとか。

「真逆、御前上位のオークが出たって言う話を聞いて此処に来たのか……？」

『…怪我人が、多いと思って…一応、』

臨時の医者として活動もしている私にソージャは何処かバツが悪い様に言った。