医者と人外と[d!] (ページ2)

今日:5 hit、昨日:45 hit、合計:18,914 hit

黒いドラゴンページ2

side_you

ジメジメとした森の中で私はただ行く宛もなく歩いていた。
何故かって？其れは…話すと長くなるから止めておこう

生い茂る草を手で掻き分けながら歩いていると驚いた。

『！……黒い、どら、ごん…………？』

黒いドラゴンが傷だらけで倒れていたのだ。

…人間との争いで深手を負ったのだろうか、そんな事を考えながら傷口を見ては黒いドラゴンを頭まで見ていると、ばちりと黒いドラゴンと目があってしまった。
気絶はしていなかったのか。

未だ動けないのか倒れている黒いドラゴンは殺すなら殺せ、と何処か目で訴えて来ている様子だった

だが私はそんな訴えの籠もる目線を無視しては少し大きめのショルダーバックを前に持って来ては黒いドラゴンに恐る恐る近付いた

『…少し、痛いかもしれませんし、人間の治療がドラゴンの貴方に効くか分かりませんけど…失礼しますね、』

黒いドラゴンは何処か驚いている様子だったが、私は気にせずバックから医療キットを取り出しては見える怪我には消毒をしてから包帯を巻いた。

…其れにしても、酷い怪我だ。

所々鱗が剥がれており痛々しい。

剣で切られたであろう傷に所々に刺さっている弓矢

だが、どの傷口にも毒性の物は感じられなかった為、此の黒いドラゴンからすれば幸運だろう。

何て思いながら治療をしているが、私は何時此の黒い黒いドラゴンに殺されるか分からない。

だって人間と人外は対立し合う仲だから。

何て思いながら治療をしていると目に付く傷には全て包帯を巻き終わっていた。

『…はい、治療終わり…だけど、暫くは安静にしてないと傷口開いちゃうからね、』

そう言って少し後退りをして煮るなり焼くなりお好きにどうぞ、と言う意味を込めて頭を下げてみた

…だが、一向に痛みは来ない。

「…何故、御前はドラゴンである俺の手当をしたんだ……？」

黒いドラゴンが喋った事に私は内心驚きながらも黒いドラゴンの質問に冷静に答えた。

『…種族なんて関係無いです、私は傷付いている者を治すのが役目のただの人間の医者ですから、』

キッパリと言えば黒いドラゴンは何も言ってこなかった。

何故急にあんな質問をしてきたのかと言う疑問を抱いた刹那、ボフンと言う音と同時に風が勢いよく吹いた。

其れに驚き、私は顔を上げてしまった。

『……え、』

「御前は中々に面白い考えを持った人間だな。」

倒れていた黒いドラゴンが居た場所には金髪赤眼に頭には先程のドラゴンの角が生えた男が立って居た