私を魔法少女と呼んでくれないのは、私がアラフィフだからですか？

♡ プロローグ♡ ページ2

「謝りもしないのね？！このっ、無礼者！」

生徒のあまりの悪態に、思わず彼女を怒鳴りつけた。
全く、どうしてこうも最近の若者は礼儀を知らないのだろうか。
現に、生徒は今も私を睨み続けている。

私が若い頃は、教師は教師であるというだけで敬われたものだ。
少なくとも私は、教師を睨んだことなどただの一度たりともない。

彼女の無礼さは、インターネットが脳に悪影響を及ぼしているという証明であろう。若いうちからインターネットに触れさせると碌なことがない…そう心の中で呟く。

『なんかA怒ってたね〜wあの子なにやらかしたの？』
『なんか授業中内職してたらしいよ』
『それであんなにキレるとかw更年期？w』

廊下から生徒の騒ぎ声が聞こえる。
彼女らは、教室内と教室外の間に境界か何かがあるとでも思っているのか、それとも私に聞かれようと構わないと思っているのか。
教室の外にいようが、これだけ距離が近ければ私に聞こえるということは容易に想像できるだろうに、全く。
もう一度ため息をついて、私は生徒に告げた。

「貴女が私の授業中に見ていたものは、絶対に返しませんから！絶対に！」

そう言って生徒を帰らせたが、結局彼女から謝罪の言葉を聞くことはできなかった。
とりあえず、彼女の内申点は下げておこう。それと、先程廊下で私の話で盛り上がっていた生徒達の内申点もついでに。
はぁ、どうして我が校の生徒はこんなに態度が悪いのだろう。

ここで自己紹介をしておこう。私、Aはここ、雌学園高等学校の生物教師をしている。
雌学園は中等部・高等部が存在する附属校で、4年の歴史を誇る伝統校だ。来年には、ついに創立5年を迎えることになる。
我が校の教育理念はユダヤ教に基づいていて、毎朝礼拝がある。
また、校内では情報統制が非常に厳しく、電子機器の使用は勿論、新聞を読むことや、学校が推奨している本以外の本を読むことは許されない。これらのルールを破った場合、即時退学である。ちなみに、学校が推奨している本は聖書のみだ。

まぁ、だいたい私がどんな人で、私が勤めている学校がどんな学校か分かったであろう。
…分からない？それは貴女の理解力が足りないのであって、私の責任ではありませんので、先に進みます。

とにかく、私は生徒の有様を見てこの国の将来を憂いているのだ。このような生徒達にこの国の未来は任せられない。少なくとも、今は。
だから、生徒になんと言われようとも、まだまだバリバリ働かなくては。

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