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「マロー。トリミングして貰って更に可愛くなってるじゃん。よかったねー。」
「この子、凄く可愛いよね?ふわふわで、触ってるだけで癒されちゃう。」
食事が終わってリビングのソファーに移動して、裕太くんと一緒にマロ君と寛いでいた時だった。
「俺もこれ癒されるな〜。」
「………えっ。」
そう言いながら裕太くんはマロ君にするみたく、私の両頬をむにむにと触ってきた。
「ちょ、ちょっと裕太くん!?」
「んー、なにー?」
「なにー?じゃなくて。待って、なにしてるの!?」
裕太くんの急な謎の行動に、思わず戸惑ってしまう。
「ふふふっ。顔、真っ赤だよ?Aのほっぺがぷくぷくしてるから、マロかと思っちゃったじゃん。」
「な、なにそれっ。」
「照れてるの?可愛いよ。」
「もっ、もう!揶揄うのやめてよぉ……。」
ゆるいこと言いながらケラケラ笑ってたのに急に廉さんの顔になるとか、裕太くんはズルい。
その表情は私の知ってる裕太くんとはあまりにも違いすぎるから、どうしていいかわからなくなるよ。
◇
裕太くんとは同じ小学校に通っていて、存在は知っていたけれど話したことはなく、習い事で通っていたピアノ教室で出会って仲良くなっていった。
元々裕太くんの弟と私が同級生で、たまたま同じクラスになったことをきっかけに家族ぐるみで仲良くなった。
裕太くんの弟は活発でやんちゃな男の子だったけれど、長男の裕太くんは内気で人見知りをするタイプで、ピアノが上手な男の子だった。
年上の裕太くんは私のことを本当の妹みたいに可愛がってくれて、一緒におままごとをしてくれたりもして。
そんな優しい裕太くん一家が東京へ行ってしまうと親から聞かされたのは、引っ越しの前日のことだった。
私が泣いて裕太くんたちが行きにくくなってしまうことを考えてそうなったらしいけれど、あの二日間は死ぬほど泣いたのを覚えている。
幼かった私には隣の東京が海外のように遠く感じて、もう一生会えない気がしていた。
だから再会した時は本当に信じられなかった。
今、私の隣であの頃と変わらない顔して笑う裕太くんを見ていると、当時を思い出して懐かしくなるけれど、どうしても廉さんがチラついてどきどきしてしまう。
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にかみつば(プロフ) - ぺこさん» コメントありがとうございます。キスマイのマネージャーさんやまわりに関西弁の方が多く、横尾さんもよく関西弁をつかってますよ(^-^)私は可愛いなぁと思いながらテレビで観てます! (2021年5月28日 3時) (レス) id: a0721de2a5 (このIDを非表示/違反報告)
ぺこ(プロフ) - たまに横尾さんが関西弁になってるのが多々あるので気になります。 (2021年5月28日 1時) (レス) id: 9baa58e5fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にかみつば | 作成日時:2021年5月25日 23時