7話 ページ7
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「A、今日部活ないでしょ?一緒に帰ろ。」
「何で無一郎が私の部活の有無を知ってるの?」
アオイもカナヲも部活なので一人で帰ろうと思っていた矢先、私の教室に無一郎が来た。
どうやら将棋部も今日は休みのようだ。
しかし…わざわざ高等部まで来て一緒に帰ろうと言いに来るとか…可愛いな。健気。
「別に知ってたから。それより帰ろ。」
「えー、あー…うん。いいよー…」
あれだな。多分。無一郎と同じクラスの私の後輩ちゃんに聞いたんだな。そういう事にしておこう。
あと本当は一緒に帰る気なんてさらさらなかった。
だって一緒に歩いてるだけで周りからの視線が凄いんだもん。
でもなんと言うか…圧があった。
“断らないよね?”
みたいな確認の圧が。笑顔で。
あと今日お弁当を届けて貰った借りもあるし。
適当な理由をつけて断ろうとしても無一郎は無駄に頭が回るから逃げられない。
ならば潔い方が良いからね。
「でも有一郎は?」
「兄さんは委員会。」
「そっかー」
まあ時透双子と一緒の方が更に注目浴びて死にそうだしね。まだ片方だけで良かった。
いや片方だけでも十分周りの目が怖いな。
つくづく思う。良かった、歳離れてて。
三つ離れてるから姉弟的な目で見て貰える事の方が多いと思う。多分。
近所のおばちゃんには時透兄弟のお姉ちゃんって呼ばれてたからね。昔は有一郎も無一郎も私よりちっちゃくて可愛かった。
今は少しだけど身長を二人に越されてしまった…。成長期怖い。
「何してんの?早く支度してよ。」
「ああ、はいはい…先帰ってても良いよ?」
「無理。」
「あ、はい。」
相変わらず辛辣。やっぱ好きな子に取る態度じゃない。アオイの勘違いだな、うん。
鞄に教科書を詰め込むと教室を出た。
「あれ?A部活ないの?」
丁度扉で鉢合わせた善逸にそう聞かれた。
「うん、今日は休み。」
「へー、じゃあまた明日!」
「ばいばーい。」
軽く善逸に手を振ると無一郎の元に向かった。窓辺にもたれかかってこちらを見ている。
少し不機嫌そう。まあ待たせちゃったしな。無一郎待つ事嫌いなのに。
「ごめん。遅くなった。」
「…まあいいよ。今日奢って。」
「あー…そう言えばそんな約束したねぇ…」
乾いた笑みを零した彼女は気づかなかった。
無一郎と善逸が睨み合っていた事なんて。
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yuina03230418(プロフ) - あっ、むいくんの小説で極端に出る時と極端に出ない時がある善逸〜(( (2020年12月6日 20時) (レス) id: 411fa87a66 (このIDを非表示/違反報告)
ふぐひらめ - 二周しましたよぉぉぉ!!凄いもうこの…こう……とにかく凄いです!(語彙力)これからも応援してます!!!! (2020年10月18日 7時) (レス) id: 0b66878cc1 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - むいloveさん» 応援のお言葉ありがとうございます!恋の呼吸を放ってしまいそうな程キュンキュンして頂けて光栄です! (2020年6月23日 16時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
むいlove - 自分の本名でやったので、よみおわったあとキュンキュンして恋の呼吸を放ってしまいそうでした!とても、書くの、お上手ですね!応援しています! (2020年6月23日 10時) (レス) id: 72d195a4a4 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - ももんがさん» ありがとうございます。応援のお言葉まで…感謝の限りです! (2020年6月15日 20時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白霞 | 作成日時:2020年5月15日 16時