43話 ページ43
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「A、来たよ。」
「あれなんで家に入って来てるの。」
「鍵開いてたよ。不用心だね本当。」
そう言って無一郎はぼすんと私のベッドに腰掛けた。てか鍵閉めてなかったか…閉めたつもりだったんだけどなぁ。
いつもなら適当な漫画とか小説とかを本棚から引っ張り出して読み始める無一郎だが、今日は特に何もしない。
凄い笑顔でこちらを見てくる。
「……何?」
「んー?」
「なんでそんなにこっち見るの。課題に集中できないんだけど。」
私は今、あの不死川先生から出された課題に手こずっている。数学は特に苦手な科目。数学に関して言えば赤点常習犯だから。
「いや、やっぱりさ。折角なら恋人らしいことしようよ。」
「君まだ中二じゃないっけ?」
「うーん、Aとならなんでも良いよ。」
若干噛み合わない会話に意思疎通を諦めた。
今目の前にある課題という名の魔物と戦わねば。
「Aー。」
「ちょ、瞬間移動しないで貰えます?」
無一郎は先程までベッドにいたのに気づくと私の背後に回っていた。普通に怖い。
後ろから抱き締められて地味に重い。骨折れないかちょっと心配。
「あれ、恥ずかしがらないの?」
「耐性ついてるからさ。」
君のせいでね。
「へぇー、じゃあこれは?」
そう言って無一郎は私の首元に顔を埋めた。
…待ってすこぶるくすぐったいんだけども。首元弱いんだよ私は。
「ちょちょ、無一郎、くすぐったいから離れて。」
「だーめ。」
執拗に首元に顔を埋めて抱き締めてくる無一郎。
少しくらい私の骨の心配をして欲しいな。
「ふふ、かーわい。」
そりゃどうも。
あと今すぐやめて欲しいです切実に。
「むいちろ、本当にさ…」
「…え、待って無理。何でそんなに唆る顔するの?え?襲って良い?」
「駄目だわ阿呆。」
ぐいぐいと無一郎の頭を押し返す。ビクともしない。
掌で転がされている感が否めない。すんごい悔しい。
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yuina03230418(プロフ) - あっ、むいくんの小説で極端に出る時と極端に出ない時がある善逸〜(( (2020年12月6日 20時) (レス) id: 411fa87a66 (このIDを非表示/違反報告)
ふぐひらめ - 二周しましたよぉぉぉ!!凄いもうこの…こう……とにかく凄いです!(語彙力)これからも応援してます!!!! (2020年10月18日 7時) (レス) id: 0b66878cc1 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - むいloveさん» 応援のお言葉ありがとうございます!恋の呼吸を放ってしまいそうな程キュンキュンして頂けて光栄です! (2020年6月23日 16時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
むいlove - 自分の本名でやったので、よみおわったあとキュンキュンして恋の呼吸を放ってしまいそうでした!とても、書くの、お上手ですね!応援しています! (2020年6月23日 10時) (レス) id: 72d195a4a4 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - ももんがさん» ありがとうございます。応援のお言葉まで…感謝の限りです! (2020年6月15日 20時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白霞 | 作成日時:2020年5月15日 16時