1話 ページ1
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「無一郎部活は?」
「今日は休み。」
私の部屋に入り浸り漫画を読み漁るこの男。中学二年生にして天才プロ棋士間近と言われている時透兄弟の弟の方。あと物凄くモテる。
いくら幼馴染だからって、高校二年生の女子の部屋のベッドの上でくつろぎながら漫画を読むのは些か不自然ではありませんかね。
これがバレたら殺されそう。時透兄弟の女子ファンに私が。だって女性人気が飛ぶ鳥落とす勢いだもん。
「取り敢えずベッドから降りてー。私寝不足なんだよ。」
「A寝るの?」
「そうそう、寝るから降りろー」
無一郎の腕をぐいぐい引っ張るも全く動かない。歳下といえど男子の力には敵わない。悔しい。
仕方がないので諦めて毛布の中に潜り込んだ。
「え?何?本気で寝るの?」
「休ませて…昨日徹夜で課題やってたんだよ…」
「いや僕仮にも男だよ?」
「顔だけ見れば女子だから。有一郎に怒られない時間に帰ってねー…」
そう無一郎に告げて重い瞼を閉じようとした。その時。
「いや、僕男だから。」
そんな事を言って無一郎が毛布を剥ぎ取った。
「…ちょ、お願いだから寝かせて…」
「ふーん、Aって男がいる部屋でも普通に寝るんだ。へー。」
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ギシリ。ベッドが軋んだ。
気づくと無一郎の長い髪が私の顔の横をとぐろ巻いていてまるでカーテンのようになった。
両手首は無一郎に掴まれてベッドに押し付けられていた。動かそうとしても全く動かない。力の差は歴然だ。
足と足の間に無一郎の片足が滑り込んでいて身動きが取れない。
……ん?
今、押し倒されてるのか…?
ギラギラと獲物を捕らえた猛獣の如く光る瞳をしていた。
わぁ、いつもの無一郎と全然違う。どうした?
「…無一郎?どしたの?こういう事はね、好きな子にするんだよ?いくら幼馴染だからってやって良い事と悪い事があってね?」
「…じゃあ、好きな子にならしていいんでしょ?」
「うーん、そうだねぇ…合意があれば。だから取り敢えずそこをどいて貰える?」
「嫌だって言ったら?」
「困るなぁ…」
この歳下の幼馴染は、私に恋人がいた事がなかったことを良いことに事ある事にからかってくる。
だとしてもこれは少しやりすぎだけど。
てか中学二年生で…やったらいけないと思うよ。うん。
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yuina03230418(プロフ) - あっ、むいくんの小説で極端に出る時と極端に出ない時がある善逸〜(( (2020年12月6日 20時) (レス) id: 411fa87a66 (このIDを非表示/違反報告)
ふぐひらめ - 二周しましたよぉぉぉ!!凄いもうこの…こう……とにかく凄いです!(語彙力)これからも応援してます!!!! (2020年10月18日 7時) (レス) id: 0b66878cc1 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - むいloveさん» 応援のお言葉ありがとうございます!恋の呼吸を放ってしまいそうな程キュンキュンして頂けて光栄です! (2020年6月23日 16時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
むいlove - 自分の本名でやったので、よみおわったあとキュンキュンして恋の呼吸を放ってしまいそうでした!とても、書くの、お上手ですね!応援しています! (2020年6月23日 10時) (レス) id: 72d195a4a4 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - ももんがさん» ありがとうございます。応援のお言葉まで…感謝の限りです! (2020年6月15日 20時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白霞 | 作成日時:2020年5月15日 16時