なにわ “生まれ” の “女子” やねん！【Ⅲ】 (ページ26)

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□ひとだすけページ26

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正月ぶりに大阪に戻って来てから３日目。

移動手段に電車を使ったのが間違いだったか。

でも、見過ごすわけにもいかないしなぁ…

『お、悠希やん。偶然やな〜』

震える彼女のスカートの中に手が侵入しようとしたのが見えて咄嗟に声を掛ける。

我が親友・悠希よ、名前借りるよ。

ああああ、騒ぎになりませんように…！

「あ、えと…？」

『この電車で一緒になるん、初めてやない？どこ行くんー？』

平然を装ってオジサンと彼女の間を割って通り抜け、彼女の隣に立つ。

人が少ない車内でやってるわけじゃないから、行動しにくいし、

マスクにサングラスに帽子と、加えて知らない人に話しかけてるんだから、私のほうが不審者になりかねない。

ここは大阪。違和感のないように関西弁で。

『どこで降りるん？』

「え、えと…」

『次って言って。タメ口で』

「つ、次で降りるよ」

『奇遇やな〜！ウチもやから、一緒に降りよ！』

私は “電車の中でもうるさいタイプのギャル” ってことにして話を進める。

停車してすぐ、彼女を車内から追い出す。

…ついでに、オジサンの腕も掴んで。

『オジサン、痴漢はアカンよ。駅員さんとこ行こ？』

「な、なんで俺が、！」

『この子のこと、痴漢しよったやん』

そんな押し問答を数分、私たちの騒ぎを聞きつけて来た駅員さんにオジサンを引き渡す。

…最初は騒ぎにならないことを望んでたはずなのに。

『…ふぅ。ごめんね。体調とか時間とか大丈夫？』

「はい！逆に、朝ちゃんの方が大丈夫ですか？お仕事だったんじゃ…」

『あはっ、バレた？大丈夫大丈夫。まだ間に……合わなそうだけど大丈夫！』

スマホで時間を確認したら、まあやばかった。

けど、この１本前の電車に乗ってたら、彼女は助けられなかっただろうし、別にいいや。

『えーと、勝手に悠希って呼んじゃったけど…お名前は？』

「ハルです！」

『ハルちゃん！無事で良かったよ』

「ちなみに悠希っていうのは私の親友ちゃんの名前ね」と教えたら、「知ってます！」とのことだった。

ということは、かなり私のファンかな？

そう思って聞いたら、田中樹担だった。

「あの、本当にありがとうございました！」

『全然ええんよ〜♡』

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