▽ ページ2
✴
末澤「は？ お腹空いてないん？」
『まぁ…そんなに』
「勿体ないんで、これ食べます？」とロケ弁を出すと、末澤くんは両手を腰に当てて、お母さんのようなポーズをした。
末澤「ダメや。一緒に食べる」
『えぇ…』
まだ文句を垂れそうな私の手からタブレットを奪われ、睨まれた。
怯んだ私は、仕方なく一緒にタブレットを覗く。
十数分後、届いたピザに手をつける。
『ていうか普通に許しちゃったんですけど、』
末澤「追い出すタイプやないんは知ってんねん」
…知ってるから来たんだ。
私が困るのも分かった上で。
性格悪ぅ。
末澤「今日って１日中ドラマ？」
『………いや、今日はドラマなかったですね』
末澤「嘘つけ。佐野からAがケーキ食べてる写真送られてきてんねん」
佐野晶哉何してるの。
佐野晶哉を守ってあげようと思って嘘ついたのに。
………写真？
『それ、いつの写真でしょうね？』
末澤「今日やないん？」
『撮られてたの気づかなかったんですけど』
末澤「…そういうことか」
私じゃなくて末澤くんに守られるべきだったらしいな。
末澤「ショ、ショートケーキやったよな！ うわ、ずるいわー！」
『ショートケーキのてっぺんのイチゴも佐野晶哉に食べられたんですよね』
末澤「……」
『……』
結局、末澤くんはピザの後に私のロケ弁も食べた。
終電ギリになった頃、そろそろ帰ってほしいと話す。
末澤「なぁ、ホテルまで送ってくれへん？」
『すみません、今からお酒飲みます』
冷蔵庫から缶ビールを出して掲げる。
…ほんとは飲む気なんて更々ないけど。
けれど、末澤くんは渋々腰を上げて、タクシーを呼んだらしかった。
末澤「正月は？ うちにも寄ってってオカンが」
『じゃあ丈くん通して、末ママに聞いときます』
末澤「なんで丈を通すねん」
いっそ、丈くんも連れて行こうかな。
『カウントダウンないし、その時にお年玉ください』
末澤「それは…ええけどさ！」
私のことだから、末澤くんが居ない日を狙って訪ねるんじゃないかって思ってたらしい。
失礼な。さすがにそこまで避けはしないのに。
✴
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 250人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：悠希 | 作成日時：2023年12月27日 7時
