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思わず返す言葉が無くて、唖然としていると更には
｢警備もついてますのでご安心くださいませ｣
と言われてしまい、私とイーシンを思わず顔を見合わせた。
終いには、ルームキーを受け取ると一部屋しか借りられてないことに気付き、入ってみるとスイートルーム･･･
｢先生･･･嘘ついたんだなきっと｣
｢ははは、ご褒美かな？｣
イーシンは呑気に笑ってるけど、私は何故か頭の中で料金の計算をしていた。
フロア貸切な上にスイート･･･
きっと膨大な額になると思い、思わず震え上がる。
｢まあ、先生が借りてくれたんだしいいんじゃない？｣
と、イーシンがベッドに座ってこっちを見て言った。
そしてこう付け加える。
｢Aと一緒に寝れるみたいだし？｣
何か企んでいるような顔して笑うイーシンにドキドキしてしまう。
｢明日朝早いから今日はダメ｣
｢えぇ〜なんで〜？だってまだお昼だよ？｣
｢ダメなものはダメなの〜｣
私がそう答えながら荷物を片付けていると。
｢ねえ、A？なんで今日泣いてたの？｣
突然の質問に･･･いや、私が泣いてたことに気付いていたイーシンの言葉に驚き、思わず手を止め、黙っていると
｢気づいてないと思った？｣
と言われ、何も言えなくなってしまった。
そして、今までイーシンに背を向けて荷物を片付けていた私の肩を掴んでイーシンの方を向かされた。
｢何かあったの？｣
｢何もないよ｣
｢何もないのに泣かないでしょ。なんでも聞くから。無理して泣くの我慢しないで｣
そう優しく微笑んでくれるイーシンを見て、
今まで抑えてきた感情が溢れてしまって涙が出てしまった。
｢よしよし、良いんだよたくさん泣いて｣
と私を子供を宥めるみたいに頭を撫でてくれる。
私はひとしきり泣いた後、さっきの出来事やそれで過去のことを思い出してしまったことを話した。
イーシンに対してのことは言ってないけど。
私が話している間、イーシンはずっと相槌を打ちながら話を聞いてくれていた。
私が話し終えて、また泣き出すとギュッと抱きしめてくれた。
とても暖かくて、すごく彼の優しさを感じて更に泣いてしまったけど。
｢よく頑張ったねぇ。偉いよ｣
もはや完全に子供扱いだけど、それでも今の私にはとても嬉しくて、安心できた。
そして私の額にキスを落とし、髪を撫でる。
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作者名：ゆら | 作成日時：2017年3月31日 1時
