【Q/K】伊沢さんには毒舌な妹がいた件について (ページ6)

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朝起きるといつも通り部屋のドアの隙間からいい匂いが漂ってきた。

「おはよ、A」

部屋を出て朝ごはんを作っているAに声を掛ける。

『おはよ、お兄そろそろ朝ごはん出来るからそれ持ってって』

そう言ってAはご飯と味噌汁を指さす。2回行き来するとか面倒臭いな…1回で持ってっちゃだめかな…いや、無理なんだけど。

『横着して1回で持っていこうとか思わないでよ？』

俺の妹エスパーかよ。

『エスパーじゃないから。お兄が横着なのはもう私にとっては当たり前だよ、瞭然たる事実だよ』

いや、やっぱエスパーじゃん。

『ほらほら、早く持ってって』

「はいはい」

仕方なく2回行き来してご飯と味噌汁をテーブルに持っていく。

あ、そういえば

「そういえば昨日学校からの授業参観のプリント見つけたんだけど」

そう言うとAは一瞬静止してその後にギギギとでも音が聞こえてきそうな感じで首をこちらに向けてきた。

『あー、えーっと多分それは去年のじゃない？』

「プリントに今年の日付が書いてあったけど？」

『痛い、視線が痛い…』

「視線が痛いじゃないでしょ、なんでこういう大事なことちゃんと言わないの」

『だって……だってぇ…』

少し涙目になってるAを前にこれ以上怒る気にはなれなくなってしまう。こういう時のAは本当にずるいんだから…。

「あーもう、わかった、わかっーた。わかったからそんなに泣くなってば」

俺はそういってがしがしとAの頭を撫でる。

『泣いてないしっ』

涙目になってるけどねw

「はいはい、それで？なんで隠してたの？」

できるだけ優しく、子供をあやす様に聞く。というか事実子供をあやしてる様なもんだけど。

『……だって、今までは日曜日に授業参観があったけど、学校変わったから授業参観土曜日になっちゃったし、お兄はお仕事あるって知ってたからぁ…だからやだったんだもんっ！』

もんって……。

「あのなぁ…別に話してくれればその日だけ休むことだってできるし、別に隠すこと…」

ないだろ。そんな言葉を遮るようにAはテーブルの上にバンッとおかずを乗せた皿を置く。

『んもうっ！お兄はそう言うけど！今までどれだけAのせいで仕事休んだと思ってるの！休んだ分取り戻すために仕事大変なの知ってるの！』

「……はぁ…」

Aがびくっとしているのが伝わってくる。