【Q/K】伊沢さんには毒舌な妹がいた件について (ページ3)

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CEOと妹の関係性ページ3

伊沢side

『お兄～、お仕事まだ終わんない～？』

丁度仕事が終わった瞬間にそう話しかけて来たのは俺が仕事をしている間ずっと隣で本を読んでいたA。

「はいはい、今終わったから」と返しながら帰る準備を始める。

『まぁ知ってたから声掛けたんだけどね』

「こいつ～！」

仕事が終わったことがわかってから声をかける妹の優しさを感じつつも、それなら他の話しかけ方はなかったものかとも思う。

颯爽と帰る準備を終えたAは『まだー？まだまだー？』と騒いでいる。

前になんでそんなに急ぐのか聞いてみたら『本が無いと安心しないの！』と一言。いやお前は読書依存性かっての。完璧、禁断症状でてるじゃん。

まだ残っているライターさん達に「お先に」というと、「お疲れ様です」とかえってくる。これだけでいい職場だなぁと思うのは末期なのか…？

「今日はなんでそんなに急いでるの？本あるでしょうよ」

Aはもう俺に何を言っても意味が無いことを理解したのか大人しく入口の所で立ちながら読書を始めている。

さっきも言ったが今日Aは俺が仕事している間ずっと本を読んでいた。たまに『そういうことか！』とか思わず小声で言っていたAを横目に今日1日、俺は仕事やっていた。本が無いどころか、2.3冊位持ってきていたはずだ。現に今本読んでるし。

『これはもう読み終わっちゃったんですぅ！今日だけで3周はしたからね？？それより～ほら、早く帰ろーよー！』

あなた本を酸素か何かと勘違いしてません？

『ね、お兄！すごい！空にオリオン座がでてるよ？！初めて星座らしい星座見たかも！！』

外に出て早々、上をずっと見上げながら歩いているAに、「前向いて歩かないと危ないでしょ」と言っては見たものの、このテンションの高さをみる限り、前を向く気はさらさらないようだ。

確かに東京の空に星がチラつくことなんて中々ないし、ましてやそれが綺麗に星座の形に見えることなんて毎晩夜空を食い入るように見てないと、中々見れる物じゃないのだろうけれど、オリオン座でそこまで騒ぐかねぇ？

「はいはい、分かったから、もうすぐ駅だよ、定期出して？」

『はーい』

そういってAは面倒臭そうに定期券を出す。

「それにしてもオリオン座だけでそこまで楽しめるかねぇ、子供の特権ってやつか…。」

無意識にそう呟くと、Aはこっちを軽く睨んできた。

『子供じゃないもん』

そういうことを言ってる時点でまだまだ子供だよ。