【Q/K】伊沢さんには毒舌な妹がいた件について (ページ16)

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やっぱり足が痛いのか、時々顔を歪めながら歩く伊沢妹に歩幅を合わせながら、コンビニに向かう。

もちろん伊沢妹を置いて大急ぎでコンビニに行って絆創膏を買ってきても良かったんだけど、まだあそこにはあの子たちがいたし、なにより、少し震えている伊沢妹を1人にはしておけなかった。

「あぁいうのはさ、よくあるの？」

『えっと…まぁ。でも、今回のはちょっと流石にヒヤッとしました』

「ヒヤッとって…伊沢は…知ってるよね」

この時、謎が解けた。

突然仕事を休んだり、妹を職場に連れてきたり、喧嘩したり、忙しそうだったり。

気になっていた、何か、が見えてきた。

『お兄は、知ってます。でも、この前喧嘩したばっかりで、私のわがままで今の学校にいるから』

「と、言うと？」

『お兄は、転校しようって言ったんです、でも私は、お兄に迷惑がかかるのが嫌で』

それで喧嘩からのあの事件か

「そっか」

『今回は、ほんとに事故みたいなもので、って言うか事故、なんですけど。いつもは本当に軽いもので、お兄の仕事場について行ってるのも、家に突然来て遊ぼうって言う清水さんを、私が断れないからなだけで、その…あれ、なんでこんな話してるんですかね…』

「うん」

『すみません、お兄の仕事場の人にはもう迷惑かけないって、思ってたのにな』

「迷惑じゃないよ」

迷惑なわけが無い。

『すみません、なんで涙が』

「当然だよ」

涙が止まらないのか、下を向く伊沢妹の前にしゃがむ。

「当然なんだよ、あなたさっき死にかけたの。怪我してるの。痛くて、怖くて、泣きたくて、当然なんだよ」

『…須貝さん…』

「痛くて、怖くて、泣きたい所から出ていくのは、逃げることじゃないんだよ」

「生物って、住みやすいところに住むの、生きやすいところで生きるの、それが本能ってやつなの」

「お前らなんかこっちから願い下げだって言って、別の学校に行くことは、かっこいいことだと思うよ、もちろん今のAちゃんもかっこいいと思うけども」

『…はいっ…』

「世の中我慢しないことも大事だったりするの、足が痛いなら大人は小学生くらい背負えるの、だから素直になっていいんだよ」

『っ…はいっ…』

「はいって言ったね？じゃあ足が痛い時に言う言葉は何？」

『足、足が痛くて、歩け、歩けないです』

「まぁ及第点か、仕方ない、須貝お兄さんがおんぶしてあげよう」

伊沢妹は頼り下手。